書こうとするな、ただ書け──ブコウスキー書簡集
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書こうとするな、ただ書け──ブコウスキー書簡集

わたしは作家になろうと必死で努力していたわけではなく、ただ自分がご機嫌になれることをやっていただけの話なのだ。
「自分がどうやってやってこれたのかよくわからない。酒にはいつも救われた。今もそうだ。それに、正直に言って、わたしは書くことが好きで好きでたまらなかった! タイプライターを打つ音。タイプライターがその音だけ立ててくれればいいと思うことがある。」(本文より) カルト的作家が知人に宛てた「書くこと」についての手紙。その赤裸々な言葉から伝説的作家の実像と思想に迫る、圧倒的な書簡集。


¥3,344
青土社 2022年, Kindle版 335頁
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おれの日記とどう違うんだよ

書こうとするな、ただ書け──ブコウスキー書簡集

悪い意味で他人とは思えなかった電子版を iPhone で読んでいると日々ウェブ上に垂れ流している自分のことばを読み返しているかに錯覚した有害な男らしさの点では現代人のおれのが多少ましにも思えるがそこも実際は大差ないかもしれない本の後半になるにつれてこの作家は成功し評価されるのでその点でも一応の差違は感じられるそれだけだ正直なところつまらなかったWordPress やプリントオンデマンドについて手法上の具体的な記述がある分だけおれの日記のほうが有益にさえ思えるひとぎらいのようなことを吹聴しながらかれはひとたらしのようなところがあってずいぶんと多くのひとたちとまじわって女性とのかかわりも多かったようだし編集者にも読者にも愛された朗読会をやれば大勢が詰めかけたおれはだれからも疎まれ憎まれ蔑まればかにされるだけだどんな傑作を書いてもだれにも読まれない群衆に近づけばみんな逃げていくやってることは似ているんだけどなZINE カルチャー的な意味でおれも手紙魔だしさでもおれの手紙にはみんな迷惑するだけだだれかがありがたがって本にしたりなどされないきっとおれの手紙は長すぎるんだろう書いてるときはたいてい泥酔してるしな近頃じゃ本なんてものを読むのも書くのもつらくなってきた他人の本を出版すれば評価されるが評価されるのはおれではなくその本を書いた他人だ他人はおれでないがゆえに評価されるしおれはおれであるがゆえに疎まれ蔑まれるばかばかしいなんでまだ生きてるんだ? かつては書くためだった書かなければ死ぬ病気だほうそうかい? それがほんとうなら結構だねだったらいますぐご託を垂れ流すのをやめろよおれがこれまでの人生と比較して相対的に愛されるのは死んだときだけだ地上から消え去ればだれも悪臭に顔をしかめなくなるなのに書いているなんてあさましい下種野郎だたぶん BUK もそんな病気ででもかれは最後には愛されて死んだ書くのをやめたからでも肝硬変でもなく白血病でソーシャルメディアでバズるわかりやすい悲劇の美少女みたいにそんなことを考えながら惰性で読んだあまりに退屈すぎて読み通すのに八ヶ月かかったただ苦痛だった

(2022年10月23日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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AUTHOR


チャールズ・ブコウスキー
1920年8月16日 - 1994年3月9日

米国の作家。二歳でドイツから米国へ移住。大学離籍後、さまざまな職業を経て’52年から’70年まで郵便局に勤務しながら創作を続ける。ブラックスパロウ・プレスのジョン・マーティンと出会い、執筆に専念。白血病で亡くなるまで50冊に及ぶ詩集や小説を発表した。