妄想中年日記

連載第195回: Old No.7 Brand

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2019.
04.18Thu

Old No.7 Brand

世間にとっては週のまん中だがおれにとっては週末。今週はしんどかった。ジムにも行けなかった。昨夜はまた寄稿者に迷惑をかけてしまった。管理画面を見せたくないばかりにWordPress User Frontendなるプラグインを使い、専用フォームからの投稿をお願いしていたのだが二週連続で不具合が出た。なぜかスラッグが必ずpost-0.htmlになる。最初はXML-RPCの無効化が原因かと考えた。不具合がそのようにfunctions.phpを書き換えた直後からだったのと、外部投稿に何か関係がありそうだったのでそう決めつけた。見当はずれだった。実際には日本語のパーマリンクを避ける仕組みが悪さをしていたようだ。WordPressではスラッグをただの数字にするか、投稿日時にするか記事名にするか、好きなように設定できる。記事名の文字列が好みだが日本語のURLは文字化けしたりうまく共有できなかったりする。そこでアルファベットの記事名はそのままスラッグにし、日本語の記事名は数字に置き換えるよう設定していた。functions.phpに追加する数行のコードは理屈などわからぬままコピペで実装した。ぐぐってヒットするWordPressの便利なコードには、ITなんとかいう立派な肩書きをもつ連中が、実際にはおれと大差ないぼんくらであるにもかかわらず、いかにも知識豊富であるかのような態度を装って、どこかから孫引きしてきたコードを仕組みもわからず安易にコピペして、さも自分の手柄であるかのように装う例がよくある。検索対策さえうまく立ちまわれば上位に表示されるので参照され、参照されるからますます上位に表示される。かくして彼らの懐はアフィリエイトで暖まり、おれのような最下層のぼんくらが不具合に右往左往するわけだ。しかも今度は悪いことに寄稿者まで巻き込んでしまった。日本語が絡んだ不具合は解決しようにもろくな情報が見当たらないのが普通だ。参照したコードの源流らしき記事をぐぐりまくってようやく見つけた。なぜか寄稿者がフォームから投稿したときだけこの現象が発生する。しかも第四話まではまったく問題がなかった。初回はおれが記事名を入力したし、第三話と第四話はアルファベットの記事名だから問題なかった。それは筋が通るのだが第二話の日本語記事名におれは関与していない。違いといえば第二話までは要約文、つまりはtwitterなどで共有したとき画像の下に表示されるあの短い文章、あれを寄稿者に代わって勝手に入力していたことくらいだ。しかしそれと記事名とは関わりがないはずで、やはり何が原因なのかよくわからない。そもそもがfunctions.phpに追加したコードの意味からして理解していないのでこれはどうしようもない。そういうぼんくらが他人の原稿を預かる責任を負えるのか。好きな小説の価値を自分の無能ゆえに毀損することにあなたなら耐えられますか。おれには無理だ。さしあたりログイン後トップへ飛ばす処理をコメントアウトして管理画面から投稿してもらうことにした。作家にしてみれば使い勝手がこうも頻繁に変わるのでは安心して原稿を預けられまい。連載が終わったらまた別の作家に原稿を依頼しようかとも考えていたがもう懲りた。今回の連載は個人的にどうしても読みたいから依頼した。現状それほど熱望する著者や作品はほかに控えていない。それほどでもないのに原稿料を支払う余裕はない。自著の宣伝に使うほうがいい。『ぼっちの帝国』は実際に読まれていないが読まれても言及されないのはきっと忖度せねばならぬ厄介なしがらみがあるのだろう。だれからも愛されたことのない人間が何を書こうが所詮そんなものだ。あすからは第二幕に突入する。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的な作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『逆さの月』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。最新恋愛小説『ぼっちの帝国』連載中。
ぼっちの帝国