D.I.Y.出版日誌

連載第193回: Old No.7 Brand

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2019.
04.18Thu

Old No.7 Brand

世間にとっては週のまん中だがおれにとっては週末今週はしんどかったジムにも行けなかった昨夜はまた寄稿者に迷惑をかけてしまった管理画面を見せたくないばかりに WordPress User Frontend なるプラグインを使い専用フォームからの投稿をお願いしていたのだが二週連続で不具合が出たなぜかスラッグが必ず post-0.html になる最初は XML-RPC の無効化が原因かと考えた不具合がそのように functions.php を書き換えた直後からだったのと外部投稿に何か関係がありそうだったのでそう決めつけた見当はずれだった実際には日本語のパーマリンクを避ける仕組みが悪さをしていたようだWordPress ではスラッグをただの数字にするか投稿日時にするか記事名にするか好きなように設定できる記事名の文字列が好みだが日本語の URL は文字化けしたりうまく共有できなかったりするそこでアルファベットの記事名はそのままスラッグにし日本語の記事名は数字に置き換えるよう設定していたfunctions.php に追加する数行のコードは理屈などわからぬままコピペで実装したぐぐってヒットする WordPress の便利なコードにはIT なんとかいう立派な肩書きをもつ連中が実際にはおれと大差ないぼんくらであるにもかかわらずいかにも知識豊富であるかのような態度を装ってどこかから孫引きしてきたコードを仕組みもわからず安易にコピペしてさも自分の手柄であるかのように装う例がよくある検索対策さえうまく立ちまわれば上位に表示されるので参照され参照されるからますます上位に表示されるかくして彼らの懐はアフィリエイトで暖まりおれのような最下層のぼんくらが不具合に右往左往するわけだしかも今度は悪いことに寄稿者まで巻き込んでしまった日本語が絡んだ不具合は解決しようにもろくな情報が見当たらないのが普通だ参照したコードの源流らしき記事をぐぐりまくってようやく見つけたなぜか寄稿者がフォームから投稿したときだけこの現象が発生するしかも第四話まではまったく問題がなかった初回はおれが記事名を入力したし第三話と第四話はアルファベットの記事名だから問題なかったそれは筋が通るのだが第二話の日本語記事名におれは関与していない違いといえば第二話までは要約文つまりは twitter などで共有したとき画像の下に表示されるあの短い文章あれを寄稿者に代わって勝手に入力していたことくらいだしかしそれと記事名とは関わりがないはずでやはり何が原因なのかよくわからないそもそもが functions.php に追加したコードの意味からして理解していないのでこれはどうしようもないそういうぼんくらが他人の原稿を預かる責任を負えるのか好きな小説の価値を自分の無能ゆえに毀損することにあなたなら耐えられますかおれには無理ださしあたりログイン後トップへ飛ばす処理をコメントアウトして管理画面から投稿してもらうことにした作家にしてみれば使い勝手がこうも頻繁に変わるのでは安心して原稿を預けられまい連載が終わったらまた別の作家に原稿を依頼しようかとも考えていたがもう懲りた今回の連載は個人的にどうしても読みたいから依頼した現状それほど熱望する著者や作品はほかに控えていないそれほどでもないのに原稿料を支払う余裕はない自著の宣伝に使うほうがいい。 『ぼっちの帝国は実際に読まれていないが読まれても言及されないのはきっと忖度せねばならぬ厄介なしがらみがあるのだろうだれからも愛されたことのない人間が何を書こうが所詮そんなものだあすからは第二幕に突入する


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。