人間失格
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人間失格

「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。


¥308
新潮社 2006年, 文庫 192頁
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読んだ人:杜 昌彦

人間失格

読まず嫌いだったはじめて読んだ性犯罪被害の話だとは知らなかった性的虐待を受けて育った男がそのために人生を駄目にしていく世間とも女ともうまくやることができないうまくいくかもしれなかった結婚も妻子を不幸にするのを畏れてみずから駄目にしてしまうその後の結婚はうまく行くかに思えたが妻は性犯罪にあうその場にいあわせながら恐怖のために逃げることしかできないおなじ経験をしたことのない世間一般の人間である友人その現場を知らせるだけで平然としているその結婚も駄目になる主人公は男たちに断罪され脳病院事実上劣悪な牢獄に入れられる出てからも実家のはからいで性暴力の被害にあいつづける這い出ることのかなわぬ人生何が暴力となりうるかは孤立の度合いによる当時の家庭で父親が子どもを殴るのは当たり前だったろうこれだけなら人前でいえることだ性的虐待も同様に多かったはずだけれどもこれは人前でいえない孤立した子どもはおかしくなる。 「おかしい子どもを封建的な父親は罰するだろう。 「世間も罰するだろう暴力によって孤立させられた子どもは二次加害によってさらに断罪され孤立させられる性的虐待のサヴァイヴァーが的確に描写されているもしこの小説が青春期の普遍的な悩みについての物語として読まれているのならそれはある種の二次加害でさえありうる本質を黙殺しありがちな悩みに矮小化する行為であるように思える

(2011年11月23日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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太宰治
1909年6月19日 - 1948年6月13日

自殺未遂や薬物中毒を克服し戦前から戦後にかけて多くの作品を発表。没落した華族の女性を主人公にした『斜陽』はベストセラーとなる。その作風から新戯作派、無頼派と称された。

太宰治の本