痴人の愛
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痴人の愛

生真面目なサラリーマンの河合譲治は、カフェで見初めた美少女ナオミを自分好みの女性に育て上げ妻にする。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの回りにはいつしか男友達が群がり、やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく。大正末期の性的に解放された風潮を背景に描く傑作。


¥737
新潮社 1947年, 文庫 464頁
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著者: 谷崎潤一郎

(1886年7月24日 - 1965年7月30日)日本の小説家。初期は耽美主義の一派とされ、過剰なほどの女性愛やマゾヒズムなどのスキャンダラスな文脈で語られることが少なくないが、その作風や題材、文体・表現は生涯にわたって様々に変遷した。情痴や時代風俗などのテーマを扱う通俗性と、文体や形式における芸術性を高いレベルで融和させた純文学の秀作によって世評高く、「文豪」「大谷崎(おおたにざき)」と称された。娯楽的なジャンルにおいても多く佳作を残している。

谷崎潤一郎の本
2020.
11.06Fri

痴人の愛

谷崎文学初体験。露骨な性描写が一切ないにもかかわらず、ヒロインであるナオミの妖艶さや、作品全体から醸し出される艶めかしさの香気は、終始エロティックに漂っている。主人公・譲治がナオミに「お預け」をくらう描写には、己の内にもたしかに眠っている官能的マゾヒズムをくすぐられたように錯覚し、思わずゴクリと生唾を飲み下している自分がいた。しかし物語の中盤においてナオミの不義不貞が発覚したときの私はというと、彼女という人間に心底腹を立てていた。が、そもそも譲治の寵愛からして歪んでいる。西洋女のような美しさの片鱗を備えたカフエエで給仕する十も歳の離れた小娘を貰い受け、これを立派に育て上げ、妻にもらうというとんでも話には目をつむり、その女が思い通りにならなかったということで腹を立てるというのは、いささか都合がよすぎやしないか。私もつくづく男である。と、私だけの感想でいけば、そういったところで思考は止まっていたと思うが『痴人の愛』についての途中経過の読書感想をツイートしたとき、 バタエフェの諸屋さんがこんなリプライをくださった。

……なるほど。この考察は見事に物語の骨格を捉えていて、そういう目で見るとこれはある意味で究極の愛のカタチの一つなのだなと目から鱗が落ちる思いであった。だから『痴人の愛』なのか、と……。このように作品のタイトルと物語とが密接に関わっており、読了してはじめてそのタイトルの意味を理解できる小説作品というのは、高確率で傑作であるような気がする。


趣味でしかものを書いたことのない、名無しの素人エッセイスト(自称)。 この度、どういうわけか当サイト「人格OverDrive」の主宰者である杜 昌彦氏に「掲載してみませんか」とお誘いいただき、こちらに寄稿することに。 29年間、苦しそうなこと、辛そうなことから逃亡している人生。 寄稿するジャンルは妄想エッセイ。虚実交えた物語を書いていきたいと思います。
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