杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第19回: 喜劇が大好き

書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2017.
01.04Wed

喜劇が大好き

Hulu で恋とニュースのつくり方を見ました探偵小説のプロットがさまざまに転用可能であるのと同じように古典的なスクリューボール・コメディも応用が利くものなんですね危機に陥りエスカレートし葛藤して転機から畳みかけるハリソン・フォードの演技がキュートでした

しかしよく考えるとこれ報道の英雄が小娘のいいなりになって番組でふわふわオムレツをつくらされる話なんですよねそしてそれが視聴者の求める報道だと言い切っている。 「内戦や飢餓を報じるためには道化にならねばならないとも言っていて実際にハリソン・フォードが見返りとして不正を報じてはいますが視聴者が喜んだのは権力者が転落する瞬間が電波に乗るという珍事においてにすぎません

ではなぜ高名なジャーナリストが小娘に貶められる道を選ぶかといえば現実の娘との関係を悔やんだからです余生ともいえる仕事で擬似的にやり直そうとしたいわば弱みにつけ込まれたのです彼には料理の特技があるからまだよかったそうでなければ何をさせられていたかわかりません現に直腸を内側から撮られる打診をされていてそれが幸福な結末ということになっている

作中で直腸と同次元のネタとして語られるトランプ氏は昨年大統領に選ばれました皮肉が皮肉として成立しない時代にわたしたちは生きていますこの映画はさほどヒットしなかったそうです芸能人の前世に最大の報道価値を見いだし辞書をプレゼントされる側に多くの観客がいたからでしょう


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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