きゅーのつれづれ
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きゅーのつれづれ

アヒルのオーナメントであるきゅーちゃんの独言。小さなアパートの一室で起こる、住人や訪問者たちとの出来事をつづります。

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著者: 戸田 鳥

学生時代より児童文学を学ぶ。長い休みをはさみつつ創作を続け、2014年より、Webサイト「note」にて作品を公開。代表作に『きゅーのつれづれ』『手品師の弟子』『にんぎょばなし』など。2019年現在『鳥の国のはなし』を連載中。愛読書はダイアン・セッターフィールド『13番目の物語』、谷崎潤一郎『細雪』。好きな作家は小林信彦、庄野英二、イタロ・カルヴィーノ。

2019.
01.23Wed

きゅーのつれづれ

信頼できない語り手の傑作熱心に追いかけていたつもりはなかったけれど完結したときは感慨深かった四年間どうやら作中でもそのくらいの時間が経過したらしく上京したばかりの心細そうな女の子がほとんど大人の女性になっていた最終回が発表されたときに読み返したら意外にも読み落としはなくどの話も印象が鮮やかに残っていた一話分が追加された単行本を読み終えた計三度読んだことになる発達障害の中年男性であるおれには本当のところはわかりようもないけれど否応なしに重ねていかなければならないステージが女性の人生にはあるらしくどうしたらいいかだれにも教わらないままひとりでそれらの場面を切り抜けていかなければならないそういう成長を部屋の置物たちはもの言わず実際には騒ぎ立てているのだが彼女には聞こえない見守っている過去のしがらみを放り出して自由に生きているらしい隣のお姉さんもじつはこっそりその視線を共有しているおそらく彼女にもそんな時期があったのだ主人公はそのように見守られ励まされときに疲れはてて氷の触手に脅かされたりもしながらひとりの女性として強く成長していくそういう話だとはじめて気づかされたのは中盤の幼馴染みの親友からもらった貯金箱が割れてしまう場面だそのときまでほんわかしたファンタジーを読んでいるつもりでいたからその視点の残酷な鋭さ冷ややかさに驚かされたでもその時点でさえまだおれはわかっていなかった彼女は彼女でしたたかに自分の人生をつかみはじめていたのだしまいこまれていたオーナメントが部屋に戻されたとき彼女は親友の結婚式に自分の将来それも近い将来を重ねているお隣さんが旅立っても彼女はもうひとりではないすでに部屋の外に自分の世界を持っているけれども贈られた新参者より置物たちのほうが自分を理解してくれていることを彼女はきっと理解しているのだ


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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