カート・ヴォネガット
1922年11月11日 - 2007年4月11日
米国の作家。人類に対する絶望と皮肉と愛情を、シニカルかつユーモラスな筆致で描き人気を博した。現代アメリカ文学を代表する作家の一人とみなされている。20世紀米国人作家の中で最も広く影響を与えた人物。
猫のゆりかご
わたしの名はジョーナ。いまプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島にいる。”パパ” モンザーノの専制政治に支配されるこの島で、『世界が終末をむかえた日』の著者となるべきわたしは、禁断のボコノン教徒となったのだ。 “目がまわる、目がまわる” 世の中は複雑すぎる。愛するサン・ロレンゾ一の美女モナが、世界中のありとあらゆる水を氷に変えてしまう〈アイス・ナイン〉が、柔和な黒人教祖ボコノンが、カリプソを口ずさむわたしのまわりをめぐりはじめる――独自のシニカルなユーモアにみちた文章で定評のある著者が、奇妙な登場人物たちを操り、不思議な世界の終末を描いた長篇。
タイタンの妖女
時空を超えたあらゆる時と場所に波動現象として存在する、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、神のような力を使って、さまざまな計画を実行し、人類を導いていた。その計画で操られる最大の受難者が、全米一の大富豪マラカイ・コンスタントだった。富も記憶も奪われ、地球から火星、水星へと太陽系を流浪させられるコンスタントの行く末と、人類の究極の運命とは? 巨匠がシニカルかつユーモラスに描いた感動作。
プレイヤー・ピアノ
すべての生産手段が完璧に自動化され、すべての人間の運命がパンチ・カードによって決定される世界…ピアニストの指を拒絶し、あくことなく自動演奏をつづけるプレイヤー・ピアノの世界を描く本書は、『1984年』と『不思議の国のアリス』とのはざまの不可思議な文学空間を生みだした。アメリカ文学の巨匠として熱狂的な支持を受けているヴォネガットが、現代文明の行方をブラックな笑いのうちにつづった傑作処女長篇。