D.I.Y.出版日誌

連載第35回: KDP Print の憶測

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2017.
02.17Fri

KDP Print の憶測

大した続報がないので憶測によって自分で書くことにしましたPDF でダウンロードできる公式ガイドにはjp ではまだご利用になれませんと明記されています一方ヘルプは少しずつ整備しているらしく項目によってニュアンスが統一されていません西蘭の 7 ヵ国語に対応するそうですがこれらの言語であれば自動的に PDF に変換できるかのようにも受け取れますもし本当にそのような仕組みであれば日本語対応はかなり先になるでしょう絶望的といってもいいかもしれませんにもかかわらず日本で販売可にしたのはなぜなのか何か理由があるのかもしれませんテンプレートが用意されるとの記載もありますこれはおそらく CreateSpace とおなじく Word 用だと思います

公式ガイドによれば KDP Print は右綴じに対応するようですバーコードの位置もちゃんと逆になるらしいCreateSpace でも表紙の原稿に白い空白を入れれば実現できます)。 しかし右綴じが必要となる言語には現在非対応なのだから妙ではあります表紙の縁に余白が必要なのも CreateSpace から進歩なしBCCKS では縁のピクセルを周囲に延ばすなどで自動的に補正してくれるため文字や画像の配置に気を遣わずに済みますこの差はかなり厄介に感じます透過画像が使えない点も CreateSpace とおなじKindle 版の悪魔とドライヴでは場面転換に本のシルエット画像を使っていますシルエット周囲の余白が原因でリジェクトされやむなく記号に置き換えましたおなじ理由で Kindle 版で利用した扉画像も使えませんでしたそれらの画像Gifの余白を透明にしたのはリーダで背景をベージュにする場合を考慮したからです自動変換が本当なら今後はなるべく画像を控える必要が生じますフォントもまた CreateSpace とおなじく埋め込みの必要ありとのこと。 「KDP の本棚で本の横にあるプリント本の作成をクリックするだけで既存の Kindle 本を簡単にプリント本として出版できますとの記述とは矛盾するかに思えます本当にそんなに簡単に変換できるのでしょうか

とにかく PDF 原稿がつくれなければ何もはじまりません人格 OverDrive では epub 作成に Hagoromo を使っていますが目次をつくるのにいちいち展開して手を入れなければならないなど不具合がある改善要望は一年前に出しました上に実用的な PDF 原稿はつくれませんPDF 作成には素直に InDesign を使うのがよさそうですInDesign なら商用フォントも使えますし月額料金のもとはとれます公式ガイドの Online Previewer の画像は CreateSpace からの流用のように見えるのであるいは統合といっても一から新たに構築したわけではないのかもだとするとあいかわらず前時代的な Flash ベースで日本語対応は絶望的ということにもなりかねませんやっぱり実際に使ってみないとなんともいえませんね現物を知らないのでは憶測のレベルにすらならないついに右綴じに対応したらしいということKDP で印税を受け取れるため口座開設や小切手換金手数料が要らなくなることの二点が現状では最大のニュースのようです


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。