妄想老人日記

連載第34回: 速報:KDPがプリント本に対応か(追記あり)

書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2017.
02.16Thu

速報:KDPがプリント本に対応か(追記あり)

KDPの管理画面が新しくなったのは前ぶれだったのでしょうか。先ほどペイパーバック版作成機能βリリースのお知らせがメールで届きました(正確には「You can now publish paperbacks with KDP’s new beta feature」という文言)。以前から噂されていたCreateSpaceとKDPの統合かと思われます。CreateSpaceはFlashベースの古いシステムです。日本語対応ができずにいたのはそのせいもあるかと思われます。BCCKSと較べると非常に使い勝手が悪かったので、今回の統合でHTML5ベースに置き換えられるのではないかと期待しています(追記:実物を見ていないので断言はできませんが、おそらくCreateSpaceのFlashベースのシステムをそのまま持ってきただけのようです)。公式ヘルプからは日本版もサポートされているかのような印象を受けました(追記:記事執筆時点の話です。現在は利用できないと明記されています)。

https://kdp.amazon.co.jp/help?topicId=AH8RA6CMVRN8Y

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6054.php

もしこの機能が本当に使えるようになれば別の業者をあいだに挟む必要がなくなります。業者を挟めば挟むだけ利益が減るばかりではなく、何より出版のコントロールが厄介になります(追記:Amazon PODを使わせてくれる業者を試しましたが失敗でした。いくつかの別記事に顛末を書きました)。配信業者を利用したマルチストア展開が現状において望ましくないのもそれが理由です。またCreateSpaceで縦書き右綴じの本を作成するにはPDF原稿を逆順に並べ替える必要があります。おまけに表紙にバーコードが印刷され、商品ページには裏表紙が表示されます(追記:問合せフォームから依頼することで表紙を商品画像として表示してもらうことは可能ですが、CreateSpaceの関知しないAmazon側の何らかの都合でしばしば裏表紙に戻ります。グループ企業とはいえ別会社なのでどうにもなりません。彼らはこの現象を理解すらしていないので満足のいく回答は得られません。また依頼によって表示してもらえた表紙にはなぜか塗り足しが含まれています。Look Inside! との兼ね合いなので無効にすれば直るといわれ、無効にしてもらいましたが、これは事実ではなく、のちに裏表紙に戻りました。Amazon側に問い合わせてもCreateSpaceが管轄だといわれます)。

さらにはCreateSpaceでの報酬の受取には米国に口座を開設する必要があります。三菱東京UFJのカリフォルニアアカウント・プログラムを利用することになります。さもなければ小切手での受取に多大な手数料がかかります。そこまでしてプリント本を用意してもストアには「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です」と表示されます。海外の受注生産だからかと思われます。CreateSpace経由で注文すれば二週間で届きますがAmazon経由だとどうなるかわかりません。わからないものを注文する読者はいないので、現在のところ『悪魔とドライヴ』ペイパーバック版は海外でしか売れていません(追記:二週間で届き、以後は在庫されるようになります。注文が多ければ在庫数も増えます。またAmazon経由で買ったほうが印刷の質が優れています。在庫を増やすためにも日本のAmazonで注文したほうがいいでしょう)。

ヘルプには「KDP の『本棚』で本の横にある『プリント本の作成』をクリックするだけで、既存の Kindle 本を簡単にプリント本として出版できます」とありますが、2/16朝の時点で管理画面にそのようなボタンはありません。ISBNの説明は英語版をそのまま翻訳したように見えます。CreateSpaceでの説明と似ているので、おそらく同様にISBNが無料で使えるはずです。もちろん自分で取得したISBNを使うこともできますが、Amazonを出版社とすれば個人情報を公開せずに済み、取得に固定電話の必要もないという利点があります。Amazonを通じて米国のISBN機関から取得する場合には著者向けの優待価格が利用できるそうです。もし日本でこのサービスが利用できるようになれば、おそらく五千円前後の価格になるのではないかと個人的には予想します。インプレスやMyISBNがその価格帯で提供しているからです(追記:日本の某サービスでは追加料金を支払って自分のISBNを使っても出版社名は某サービスの名称となります。利用時にその説明はされません。CreateSpaceではISBNさえ持っていれば無料で自分の屋号を使えます)。

表紙作成ツールはやはりサポートされないままです。CreateSpaceの同じ機能はBCCKSの使い勝手にはるか及びません。また一般論として、日本語でまともな表紙をつくるにはフォントを購入し、字詰めを工夫する必要があるためジェネレータ的な機能で作成するには限界があります。公式機能が使えなくても差し支えないかと思われます。

「CreateSpace 以外のプラットフォームでプリント本を出版していた場合も、それを KDP の『本棚』で新しいプリント本として設定することにより、KDP で出版できます」との文言が気になります。どういう意味でしょう。BCCKSで作成したペイパーバックを売れたら理想なのですが……まぁそういう可能性はないでしょうね。おそらく企業からの出版を意味すると思われます(追記:BookBabyなどほかのセルフパブリッシングサービスのことかもしれません。いずれにせよ日本では関係ありません)。KDPは以前から機能更新のお知らせがフライング気味の傾向があり、あとから「日本版は未対応でした、ごめんなさい」ということがよくあります。システムの更新があるとしてもまだ反映されていません。今回も英文メールの先走りかとは思われますが、実現の日は遠くないと期待しています。

【追記】

現在は「kdp.amazon.co.jp ではプリント本の出版はサポートされていません」と明記されています。人的リソースの問題から、日本で使えることは当分ないと思われます。現時点ではCreateSpaceの利用をお薦めします。
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G202172740

CreateSpaceによる出版の実例。


杜 昌彦

(Masahiko Mori, 1975年6月18日 -)著者、出版者。2010年から六年間、ヘリベマルヲ名義で自主出版活動を行う。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにてウェブディレクター・佐々木大輔氏から「注目の『セルフパブリッシング狂』10人」に選ばれた。