ジェイムズ・クラムリー

1939-2008
テキサス州スリーリバー生まれ。南テキサスで育ち、ベトナム戦争に従軍。兵役終了後、ベトナム戦争を扱った『我ひとり永遠に行進す』でデビューした。 その後、モンタナ大学などの講師を勤めながら『酔いどれの誇り』を発表し、正統派ハードボイルドの継承者としての評価を得た。 しかし『ダンシング・ベア』を上梓後は創作に苦しみ、一時期はマニア向けの現定本やB級映画の脚本などで食い繋いぐというかなり苦しい生活を送ったという。

さらば甘き口づけ

酔いどれの私立探偵スルーはカリフォルニア州の酒場で、捜索を依頼されたアル中作家トラハーンを見つけた。が、トラハーンは怪我のため入院することになった。足止めをくったスルーは、そこで、酒場のマダムからの別の依頼を引き受けた。依頼は、10年前に姿を消したきり行方の知れない娘を捜してほしいというものだった。病院を抜け出してきたトラハーンとともに娘の足跡をたどり始めたスルーの前に、やがて、女優志望だった娘の10年間の哀しい軌跡が浮かびあがってきた…。さまざまな傷を負った心を詩情豊かに描く現代ハードボイルドの傑作。