ちょうど 『すべての見えない光』 の直後に読んだんですよね。 あっちはお上品にスマートフォンを貶してたけどこっちはまるでセルフパブリッシングの寓話。 猥雑で生活感があってよかったです。 中島京子 『小さいおうち』 とか小林信彦 『ぼくたちの好きな戦争』 とか思い出しましたね。 コニー・ウィリス 『ブラックアウト』 とか。 戦時中を平時と切り離したファンタジーとして描くのではなく、 地続きの日常として淡々と語るのがいいですね。 そのほうが生活実感がある。 物事は実際にそんなふうに進行していくわけで。 ふつうに暮らしていて気づいたらおかしなことになってるわけですからね。
ASIN: 4041050766
スウィングしなけりゃ意味がない
by: 佐藤亜紀
1939年ナチス政権下のハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、“スウィング(ジャズ)”だ。だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた…。権力と暴力に蹂躙されながらも、“未来”を掴みとろうと闘う人々の姿を、全編にちりばめられたジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。
¥260
KADOKAWA 2017年, 単行本 344頁
※価格はこのページが表示された時点での価格であり、変更される場合があります。商品の販売においては、購入の時点で Amazon.co.jp に表示されている価格の情報が適用されます。
読んだ人:杜 昌彦
(2017年08月30日)
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
『スウィングしなけりゃ意味がない』の次にはこれを読め!