インヴィジブル
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はじまりは一九六七年のニューヨーク。文学を志す二十歳の青年の人生は、突然の暴力と禁断の愛に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、不可視の領域の存在を読む者に突きつける―。新境地を拓く長篇小説。


¥2,310
新潮社 2018年, 単行本 286頁
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読んだ人:杜 昌彦

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ポール・オースターはおもしろいものとつまらないもの両極端な本をほぼ交互に書く作家だとずっと前から思っていた。 『偶然の音楽なんかどこでひねるのだろうと期待させたままついに一度もひねらずただ一直線につまらないまま終わる今回の本も書評を読むかぎりでは冴えない印象だったので期待せずに読んだ予想外におもしろかったでもムーン・パレス』 『幻影の書』 『ブルックリン・フォリーズのようなおもしろさではない。 『ミスター・ヴァーティゴリヴァイアサンのようなおもしろさでもないけれど不穏な感じは似ているかもしれない不穏な感じで言えばむしろつまらないはずの偶然の音楽のそれをちゃんと書き切ったような印象でつまらないほうの彼のしっかり進化したバージョンというかこれまでの彼とは一風異なるおもしろさがあった。 『アーダかと思えばロリータになり唐突にトカトントンで終わる呆気にはとられるけれども計算され尽くした無駄のないつくりで何より物語のおもしろさに引き込まれる何を考えているかわからない他人の怖ろしさ不条理にはじめて説得力が加わった気がする

(2018年11月04日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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ポール・オースター
1947年2月3日 - 2024年4月30日

米国の作家・詩人・映画監督。彼の作品はニューヨーク、特にブルックリンを土台にしている。1993年、『リヴァイアサン』によってフランス・メディシス賞の外国小説部門賞を受賞した。