インヴィジブル
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インヴィジブル

はじまりは一九六七年のニューヨーク。文学を志す二十歳の青年の人生は、突然の暴力と禁断の愛に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、不可視の領域の存在を読む者に突きつける―。新境地を拓く長篇小説。

著者:ポール・オースター

(1947年2月3日 -)米国の作家・詩人・映画監督。彼の作品はニューヨーク、特にブルックリンを土台にしている。1993年、『リヴァイアサン』によってフランス・メディシス賞の外国小説部門賞を受賞した。

2018.
11.04Sun

インヴィジブル

ポール・オースターはおもしろいものとつまらないもの、両極端な本をほぼ交互に書く作家だとずっと前から思っていた。『偶然の音楽』なんかどこでひねるのだろうと期待させたままついに一度もひねらずただ一直線につまらないまま終わる。今回の本も書評を読むかぎりでは冴えない印象だったので期待せずに読んだ。予想外におもしろかった。でも『ムーン・パレス』『幻影の書』『ブルックリン・フォリーズ』のようなおもしろさではない。『ミスター・ヴァーティゴ』や『リヴァイアサン』のようなおもしろさでもないけれど、不穏な感じは似ているかもしれない。不穏な感じで言えばむしろつまらないはずの『偶然の音楽』のそれをちゃんと書き切ったような印象で、つまらないほうの彼のしっかり進化したバージョンというか、これまでの彼とは一風異なるおもしろさがあった。『アーダ』かと思えば『ロリータ』になり唐突に『トカトントン』で終わる。呆気にはとられるけれども計算され尽くした無駄のないつくりで、何より物語のおもしろさに引き込まれる。何を考えているかわからない他人の怖ろしさ、不条理にはじめて説得力が加わった気がする。


杜 昌彦

(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。硬質な文体と独創的な物語で知られる。作風はアヴァン・ポップ、スリップストリーム、スペキュレイティブ・フィクションに分類される。2010年から別名義で活動。2013年日本電子出版協会(JEPA )主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。