どれを読んでもはずれのない作家だし、 好きな翻訳家なので楽しみにしていた。 びっくりするほどつまらなかった。 レナードの小説に期待するのはすっとぼけたユーモアだ。 この本にはそれがない。 併録された短編にはややその萌芽が見られて悪くなかったけれど、 ひとに薦めるほどではない。 うまくできているとは思う。 でもそれだけじゃ読む意味が感じられない。 もうちょっと何かほしいんだよなぁ。 もしこれが新人賞の応募作で、 自分が下読みだったなら、 よく調べたね、 上手だね、 と醒めた感じで一次は通すけれど二次では何も考えずに落とすと思う。 あの巨匠にもこんな時期があったんだなぁと思ったけれど、 勇気づけられたり感慨に浸ったりするほどでもない。 単に退屈な読書だった。 いちおう最後まで読んだ自分を褒めたい。
※価格はこのページが表示された時点での価格であり、変更される場合があります。商品の販売においては、購入の時点で Amazon.co.jp に表示されている価格の情報が適用されます。
読んだ人:杜 昌彦
(2018年05月25日)
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
『オンブレ』の次にはこれを読め!