犬の心臓・運命の卵
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犬の心臓・運命の

ヒトの脳を移植された犬が、大量発生したアナコンダが、人々を戦慄させる――。
ソ連体制下で全作品発売禁止! 問題作2作を新訳で。

ヒトの脳下垂体と睾丸を移植された犬が名前を欲し、女性を欲し、人権を求めて労働者階級と共鳴し、ブルジョワを震撼させる(「犬の心臓」)。繁殖力を高める生命光線を浴びて、大量発生したアナコンダが人々を食い荒らす(「運命の卵」)。
奇想天外な空想科学的世界にソヴィエト体制への痛烈な批判を込めて発禁処分となった、20世紀ロシア語文学の傑作二編を新訳で収録。用語、背景などについての詳細な注解および訳者解説を付す。


¥624
新潮社 2015年, Kindle版 307頁
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読んだ人:杜 昌彦

犬の心臓・運命の卵

年末年始に読んだミャンマーや香港で起きていることウクライナで起きていることあるいは COVID-19 を巡るあれこれがちらついて古い絵空事とは思えなかった女性の描き方も当時の男性としてはまっとうだ権力や世間の価値観に流されずに物事を公平に観察する作家だったのだろう着想やプロットの風刺といいカメラアイ的な客観描写と意識の流れが自然に溶け合う語り口といい皮肉に満ちた人物描写といい他人とは思えないほど共感できる書き方がされている逆にいえば政治によってひとびとの暮らしが抑圧された時代に書かれ発禁になった小説がこれほど自然に共感できる一方で現代の日本で出版される小説にまるで共感できないのは何かよくないことの表れであるような気がする思い過ごしならいいのだけれど

(2022年02月07日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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ミハイル・ブルガーコフ
1891年5月15日 - 1940年3月10日

ウクライナ出身の作家。『巨匠とマルガリータ』が最もよく知られている。彼の作品はソビエト社会に対する体制批判とみなされ、長いあいだ当局から弾圧されていた。作風に関し、同じくウクライナ出身の人物で近代ロシア文学の基礎となった作家ニコライ・ゴーゴリと比較される。

ミハイル・ブルガーコフの本