おばあさん
ISBN: 9784022648549

おばあさん

納富家で隠居生活をおくるおばあさんのもとに、娘婿の浮気に孫娘の婚約騒ぎと心配の種が次々に舞い込む。人生の荒波をくぐり年を重ねた女性の知恵と気骨としたたかさで、おばあさんは厄介事の解決に奔走する。ユーモアあふれる家族小説。

¥ 990
朝日新聞出版, 文庫 464頁
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著者:獅子文六

(1893年7月1日 - 1969年12月13日)日本の作家、演出家。多くの作品が映像化された。1961年にNHKでテレビドラマ化された『娘と私』は、連続テレビ小説の第1作となった。1963年、日本芸術院賞受賞、1964年芸術院会員、1969年文化勲章受章、同時に文化功労者となる。

2017.
09.09Sat

おばあさん

確かに痛快でもユーモアでもあるけれども、脳天気な巻末解説のいうように「ほがらか」では決してない。獅子文六の明るさは人生の苦みを踏まえた強さ、したたかさなのであって、むしろときとして思い詰めた鬱といっていいくらいだ。この小説は開戦前夜のふつうのひとびとの暮らしを描いていて、登場人物はこのあと無事ではいられないかもしれないことを、現代のわたしたちは知っている。そして物語もまたそのことを暗示して終わる。初出こそ戦前だけれども筑摩文庫版が底本としたのは69年、学生運動はなやかなりし時代の全集であるから、当然なんらかの手は加えられただろう。すくなくとも同全集を底本とした『悦ちゃん』では加筆されたとおぼしき文章が散見された。家庭内のもめごとが解決してめでたしめでたし、などという「ほがらか」な空気は微塵もなく、破滅の近づきを予感させつつ物語はクライマックスを迎える。連載時すでに備えていた色合いなのか、四半世紀後に後知恵でなされた加筆修正なのかはわからない。いずれにせよ家庭内の小さな出来事が世相の大きな動きとつながる視点は、この「痛快ユーモア」小説の空恐ろしいところだと思う。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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