特集: 家族

ひととひととの結びつきはそれぞれ。家族のさまざまなありようを描いた小説を集めました。
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やっさもっさ

舞台は横浜。志村亮子は才気と実行力を買われ孤児院「双葉園」の運営に奔走する。そこへアメリカ人実業家、文芸評論家、婦人運動家と三流プロ野球選手など、個性的な人物が集まりドタバタ劇が始まる。一方、夫の志村四方吉は戦争による虚脱症で無為の生活を送っているように見えたが…。戦後の社会問題を巧みに取り込み、鋭い批評性と高い諧謔性で楽しませる傑作。

読んだ人: 杜 昌彦

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サンセット・パーク

大不況下のブルックリン。名門大を中退したマイルズは、霊園そばの廃屋に不法居住する個性豊かな仲間に加わる。デブで偏屈なドラマーのビング、性的妄想が止まらない画家志望のエレン、高学歴プアの大学院生アリス。それぞれ苦悩を抱えつつ、不確かな未来へと歩み出す若者たちのリアルを描く、愛と葛藤と再生の物語。

読んだ人: 杜 昌彦

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ブリーディング・エッジ

2001年9月、ITバブル崩壊後のNY。非公認の会計調査師マクシーン・ターナウは、コンピュータセキュリティ会社の財政調査をはじめるなり陰謀に巻き込まれる。アールデコ調のモーターボートを操るヤクの売人、ヒトラーが使ったひげ剃り後ローションに執着する超人的嗅覚の持ち主、靴の趣味が悪いネオリベラリズムのゴリ押し屋、ロシア系マフィアにブロガー、ハッカー、下っ端プログラマーに実業家……そしてもちろん、殺人だ。ディープ・ウェブへ、ロングアイランドへ。内なるユダヤ系の母にチャンネルをあわせ、ピンチョンが読者を連れて行く先にあるものは。正義の鉄槌はさておいて、真犯人は明らかになるのか。マクシーンはハンドバッグから拳銃を抜くのか。夫とよりを戻すのか。貸し借りがゼロになり、運命は清算されるのか……なあ、そんなの誰が知りたがる?

読んだ人: 杜 昌彦

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ぼっちの帝国

「正しさ」の押しつけは、もういらない。
コールセンター勤務の明日香はささいな揉めごとから28歳にして無職に。彼氏のはずの年下男にはほかに彼女がいて、アパートは取り壊され帰る場所もない。ひょんなことから昭和モダン建築アパートの住み込み管理人となった明日香だが……。笑いあり涙ありアクションあり、殺人事件からカーチェイスまで全部入り。生きづらさを抱えるすべてのひとに贈る、爆笑と鬱の恋愛エンターテインメント小説!(2019年作)

読んだ人: 杜 昌彦

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マザーレス・ブルックリン

フランク・ミナは、ぼくらの兄貴で、父で、恩人で、ボスだった。孤児院暮らしのぼくらを雇い、稼がせ、成長させ、大人にしてくれた。そんなミナが、ゴミ箱のなかで血にまみれ…無免許探偵のぼくらは、殺されたミナのため、奥さんのため、仕事のため、ぼくらのため、町へ出る!言葉の魔術師の異名を取る著者が魅力を全開させた、超個性脈ハードボイルド。

読んだ人: 杜 昌彦

拳銃使いの娘

【アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀新人賞、アレックス賞受賞】 11歳のポリーの前に、刑務所帰りの実の父親ネイトが突然現われた。獄中で凶悪なギャング組織を敵に回したネイトには、妻子ともども処刑命令が出ており、家族を救うため釈放されるや駆けつけたのだった。だが時すでに遅くポリーの母親は殺されてしまった。自らと娘の命を救うため、ネイトはポリーを連れて逃亡の旅に出る。処刑命令を出した組織に損害を与えるため、道々で強盗をくりかえす父子。暴力と犯罪に満ち危険と隣りあわせの旅の中で、ポリーは徐々に生き延びる術を身に着けていく。迫る追っ手と警察をかわして、父子は生き残れるか? 人気TVシリーズのクリエイターが放つ鮮烈なデビュー作!

読んだ人: 杜 昌彦

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アバウト・ア・ボーイ

ウィル、36歳。仕事ナシ、する気もナシ。亡父の印税で悠悠自適。シングル・マザーとの後腐れのない関係に味をしめた彼は、シングル・ファーザーになりすまして、シングル・ペアレンツの会に乗り込んだ……。マーカス、12歳。転校した学校は大問題。すぐ落ち込むママも大問題。ピクニックで出会ったお気楽独身男とお悩み少年は早速騒動に巻き込まれ——。心温まる全英ベストセラー。

読んだ人: 杜 昌彦

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ガープの世界

看護婦ジェニーは男に頼らずに子供を産む。子供の名はT・S・ガープ。やがて成長したガープは、ふとしたきっかけで作家を志す。文章修業のため母ジェニーと赴いたウィーンで、ガープは小説の、母は自伝の執筆に励む。帰国後、ジェニーが書いた『性の容疑者』はベストセラーとなるのだが―。現代アメリカ文学の輝ける旗手アーヴィングの自伝的長編。

読んだ人: 杜 昌彦

低地

若くして命を落とした弟。身重の妻と結ばれた兄。過激な革命運動のさなか、両親と身重の妻の眼前、カルカッタの低湿地で射殺された弟。遺された若い妻をアメリカに連れ帰った学究肌の兄。仲睦まじかった兄弟は二十代半ばで生死を分かち、喪失を抱えた男女は、アメリカで新しい家族として歩みだす――。着想から16年、両大陸を舞台に繰り広げられる波乱の家族史。

読んだ人: 杜 昌彦

お薦め!

箱根山

箱根の山は天下の嶮か、ケンカのケンか?―足刈にある二軒の老舗旅館、玉屋と若松屋は先祖代々の犬猿の仲だ。だが若松屋の娘、明日子と玉屋の若番頭、乙夫は反発しながらも内心惹かれあっていた。いがみあう旅館、勃発する跡継ぎ問題、親から紹介された見合い相手、旅館の経営不振と大事故、乗り込んでくる都会の大資本…二人の恋の行方と箱根の未来はどうなる?

読んだ人: 杜 昌彦