特集: お友だちはサイコパス
バラクーダ・スカイ
イシュマエル・ノヴォーク
『☆』で読書家の話題をさらったインディ文学の巨匠、イシュマエル・ノヴォーク最新長篇!
ヴェトナムの悪夢から大麻とおふざけに逃避する作家、ジェイクは腐れ縁の元恋人ステイシーから実家に帰る話を切り出され、無関心を装いながらも落ち着かない。偉大な父を追うあまり家庭を顧みないテキサスの保安官代理、エミールは失敗した結婚から逃げるように無茶をやり、妻ばかりか息子の愛まで失いかねない有様。護送中に逃亡した囚人を追い、カリフォルニアを訪れたエミールは傷心のステイシーと出逢う。一方、クラブを焼かれたギャングが落とし前をつけるべく囚人に刺客を差し向け、不運にもジェイクは騒動に巻き込まれる……。人生を繋ぎ止めるために作家は書き、保安官はレンジャーになることに固執する。男らしさに翻弄されるふたりの人生が、虹色スペクトルのパレードで交差する!! 80年代カリフォルニアを舞台に展開されるオフビートな物語。
読んだ人: 杜 昌彦
GONZO
杜 昌彦
姫川尊の噂をするとき、わたしたちが浮かべる表情は、決まって揶揄であり蔑みだった……頭のおかしい嘘つきおばさんが語る、ばかばかしくも切実なZ級BLアクション!(2021年作)
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
カメラ・オブスクーラ
ウラジーミル・ナボコフ
裕福で育ちの良い美術評論家クレッチマーは、たまたま出会った美少女マグダに夢中になるのだが、そこにマグダの昔の愛人が偶然姿をあらわす。ひそかに縒りを戻したマグダに裏切られているとは知らず、クレッチマーは妻と別居し愛娘をも失い、奈落の底に落ちていく……。あの『ロリータ』の原型であるナボコフ初期の傑作。英語版と大きく異なるロシア語原典の独特の雰囲気を活かし、細部の緻密な面白さを際立たせた野心的な新訳。
読んだ人: 杜 昌彦
流れは、いつか海へと
ウォルター・モズリイ
身に覚えのない罪を着せられてニューヨーク市警を追われたジョー・オリヴァー。十数年後、私立探偵となった彼は、警察官を射殺した罪で死刑を宣告された黒人ジャーナリストの無実を証明してほしいと依頼される。時を同じくして、彼自身の冤罪について、真相を告白する手紙が届いた。ふたつの事件を調べはじめたオリヴァーは、奇矯な元凶悪犯メルカルトを相棒としてニューヨークの暗部へとわけいっていくが。心身ともに傷を負った彼は、正義をもって闘いつづける―。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
読んだ人: 杜 昌彦
拳銃使いの娘
ジョーダン・ハーパー
【アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀新人賞、アレックス賞受賞】 11歳のポリーの前に、刑務所帰りの実の父親ネイトが突然現われた。獄中で凶悪なギャング組織を敵に回したネイトには、妻子ともども処刑命令が出ており、家族を救うため釈放されるや駆けつけたのだった。だが時すでに遅くポリーの母親は殺されてしまった。自らと娘の命を救うため、ネイトはポリーを連れて逃亡の旅に出る。処刑命令を出した組織に損害を与えるため、道々で強盗をくりかえす父子。暴力と犯罪に満ち危険と隣りあわせの旅の中で、ポリーは徐々に生き延びる術を身に着けていく。迫る追っ手と警察をかわして、父子は生き残れるか? 人気TVシリーズのクリエイターが放つ鮮烈なデビュー作!
読んだ人: 杜 昌彦
インヴィジブル
ポール・オースター
はじまりは一九六七年のニューヨーク。文学を志す二十歳の青年の人生は、突然の暴力と禁断の愛に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、不可視の領域の存在を読む者に突きつける―。新境地を拓く長篇小説。
読んだ人: 杜 昌彦
IQ
ジョー・イデ
ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは‶IQ〟と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の元ギャング、ドッドソンからの口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった! 奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とは――。新たなる‶シャーロック・ホームズ〟の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作!
読んだ人: 杜 昌彦
ブルー・ドレスの女
ウォルター・モズリイ
1948年、ロサンゼルス。失業中の黒人労働者イージーは、家のローンを返済するため、美貌の白人女性ダフネを捜しだす仕事を引き受けた。調査を始めたイージーは、ダフネが出入りしていたもぐり酒場を訪れ、彼女の知人の黒人女性を見つけ出した。が、数日後、その女性が殺され、事件は思わぬ方向へ―アメリカ私立探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞新人賞を受賞し、ミステリ界に旋風を巻き起こした衝撃のデビュー作。
読んだ人: 杜 昌彦
ビッグ・サーの南軍将軍
リチャード・ブローティガン
歯なしの若者リー・メロンとその仲間たちが、カリフォルニアはビッグ・サーで繰り広げる風変わりで愛すべき日常生活。蛙でいっぱいの池に放つ鰐。マリワナでトリップしながら待つ、奇妙なたくさんの結末…様々なイメージを呼び起こす彼らの生き方こそ、「あの頃」のアメリカの象徴なのか―。
読んだ人: 杜 昌彦
うたかたの日々
ボリス・ヴィアン
純粋無垢、夢多き青年コランが出会った少女クロエは、肺の中に睡蓮が生長する奇病にかかっていた――パリの片隅で儚い青春の日々を送る若者たちの姿を、優しさと諧謔に満ちた笑いで描く、現代で最も悲痛な恋愛小説。39年の短い生涯を駆け抜け、様々なジャンルで活躍した天才ヴィアンの代表作。
読んだ人: 杜 昌彦
ありきたりの狂気の物語
チャールズ・ブコウスキー
なぜか酔いどれの私が付添人を務めることになった結婚式のめちゃくちゃな顛末(「禅式結婚式」)。残業だらけの工場を辞め、編集者として再出発した男がやらかした失敗の数々(「馬鹿なキリストども」)。何もかもに見放された空っぽでサイテーな毎日。その一瞬の狂った輝きを切り取った34の物語。伝説的カルト作家による愛と狂気と哀しみに満ちた異色短篇集。
読んだ人: 杜 昌彦
ソラリス
スタニスワフ・レム
惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。
読んだ人: 杜 昌彦
オープン・シティ
テジュ・コール
マンハッタンを日ごと彷徨する、若き精神科医。彼が街路で目にした風景は、屈託に満ちたナイジェリアでの幼い日々、ブリュッセルで移民たちに聞いた苦難の物語と共鳴しながら、時代や場所を超えた大きな物語を描き始める――。PEN/ヘミングウェイ賞ほか数々の賞に輝き「ゼーバルトの再来」と讃えられたデビュー長篇。
読んだ人: 杜 昌彦
オン・ザ・ロード
ジャック・ケルアック
不滅の青春の書『路上』が半世紀ぶりの新訳で登場。西部の太陽の子、輝けるディーンに引っ張られるように、若い作家サルは広大なアメリカ大陸を横に縦に疾駆する。「7年にわたる旅をたった3週間で小説に仕上げた」「タイプ用紙の交換ももどかしく、長さ120フィートもの巻物状の紙にノンストップで打ちつづけた」など多くの伝説に彩られ、ニール・キャサディ、ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ他実在のモデルの登場でも話題を呼んだ衝撃の書。ビート・ジェネレーションの誕生を告げ、その後のあらゆる文学、文化に決定的な影響を与え続けた傑作が、躍動感あふれる新訳でよみがえる。
読んだ人: 杜 昌彦
ドリーム・マシン
クリストファー・プリースト
それは未来予測のための画期的な計画だった。神経催眠装置につながった39人の男女の無意識が、平和で牧歌的な150年未来の町を創りあげ、この想像の世界で現実同然に生活するのである。彼らは理想的な未来社会のデータを記憶にとどめ、やがて現実世界に帰還するのだ。だが一人の男がこの夢の世界にとどまったとき、計画の歯車が狂いはじめた! 現代英国SFの鬼才が放つ傑作。
読んだ人: 杜 昌彦
血と言葉 逆さの月 崖っぷちマロの冒険
杜 昌彦
『血と言葉』(『悪魔とドライヴ』改題)
県警本部長の娘、海堂ちありは援助交際の男に連れられて訪れた店で、カウンターに立つ国語教師、辻凰馬に激しく惹かれる。ちありの小説は波紋を呼び……。異色の恋愛小説!(2016年)
『逆さの月』
あたし渡辺聡美、17歳。悪友たちのおかげで今日も二日酔い。携帯電話がまだふたつ折りだった頃。ツインタワーが倒壊する少し前。あたしと幸田と春ちゃんはだれとも違うあたしたちだけの時間を生きていた……。恋を恋と認めない語り手による青春サスペンス。(2001年)
『崖っぷちマロの冒険』
僕は世界の忘れられた子。照らし出しては殲滅する——放課後に呼び出された11歳の僕が見たものは、中指を立てて木に縛りつけられたお嬢の屍体だった! 自伝的習作。(2002年)
別名義でベストセラーとなった代表作『血と言葉』に初期中篇二作を併録。
読んだ人: 28(にわ)