特集: カルトの子ら
すばらしい新世界
オルダス・ハクスリー
西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め……驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版!
読んだ人: 杜 昌彦
GONZO
杜 昌彦
姫川尊の噂をするとき、わたしたちが浮かべる表情は、決まって揶揄であり蔑みだった……頭のおかしい嘘つきおばさんが語る、ばかばかしくも切実なZ級BLアクション!(2021年作)
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
ベンドシニスター
ウラジーミル・ナボコフ
独裁的警察国家で、運命を弄ばれる主人公クルークと息子。やがて魔の手が息子を人質にとり…。ナボコフの品切書の中でもっともリクエストが多い、愛についての美しいファンタジー。
読んだ人: 杜 昌彦
犬の心臓・運命の卵
ミハイル・ブルガーコフ
ヒトの脳を移植された犬が、大量発生したアナコンダが、人々を戦慄させる――。
ソ連体制下で全作品発売禁止! 問題作2作を新訳で。
ヒトの脳下垂体と睾丸を移植された犬が名前を欲し、女性を欲し、人権を求めて労働者階級と共鳴し、ブルジョワを震撼させる(「犬の心臓」)。繁殖力を高める生命光線を浴びて、大量発生したアナコンダが人々を食い荒らす(「運命の卵」)。
奇想天外な空想科学的世界にソヴィエト体制への痛烈な批判を込めて発禁処分となった、20世紀ロシア語文学の傑作二編を新訳で収録。用語、背景などについての詳細な注解および訳者解説を付す。
読んだ人: 杜 昌彦
青い脂
ウラジーミル・ソローキン
7体の文学クローンの身体に溜まる謎の物質「青脂」。スターリンとヒトラーがヨーロッパを二分する一九五四年のモスクワに、その物体が送りこまれる。巨頭たちによる大争奪戦の後、エロ・グロ・ナンセンスな造語に満ちた驚異の物語は、究極の大団円を迎える。20世紀末に誕生した世界文学の新たな金字塔!!
読んだ人: 杜 昌彦
ぼっちの帝国
杜 昌彦
「正しさ」の押しつけは、もういらない。
コールセンター勤務の明日香はささいな揉めごとから28歳にして無職に。彼氏のはずの年下男にはほかに彼女がいて、アパートは取り壊され帰る場所もない。ひょんなことから昭和モダン建築アパートの住み込み管理人となった明日香だが……。笑いあり涙ありアクションあり、殺人事件からカーチェイスまで全部入り。生きづらさを抱えるすべてのひとに贈る、爆笑と鬱の恋愛エンターテインメント小説!(2019年作)
読んだ人: 一夜文庫
ヴァインランド
トマス・ピンチョン
1984年、夏。別れた妻をいまだ忘れられぬゾイド・ホイーラーは、今年もヴァインランドの町で生活保護目当てに窓ガラスへと突撃する。金もなく、身動きもならず、たゆたうだけの日々。娘のプレーリーはすでに14歳、60年代のあの熱く激しい季節から、どれほど遠くまで来てしまったことか―。だが、日常は過去の亡霊の登場で一変する。昔なじみの麻薬捜査官が示唆したあの闇の男、異様なまでの権能を誇り、かつて妻を、母を、奪い去ったあの男の、再びの蠢動。失われた母を求める少女の、封印された“時”をめぐる旅が始まった。超ポップなのに、この破壊力。作品の真価を示す改訳決定版。
読んだ人: 杜 昌彦
血と言葉 逆さの月 崖っぷちマロの冒険
杜 昌彦
『血と言葉』(『悪魔とドライヴ』改題)
県警本部長の娘、海堂ちありは援助交際の男に連れられて訪れた店で、カウンターに立つ国語教師、辻凰馬に激しく惹かれる。ちありの小説は波紋を呼び……。異色の恋愛小説!(2016年)
『逆さの月』
あたし渡辺聡美、17歳。悪友たちのおかげで今日も二日酔い。携帯電話がまだふたつ折りだった頃。ツインタワーが倒壊する少し前。あたしと幸田と春ちゃんはだれとも違うあたしたちだけの時間を生きていた……。恋を恋と認めない語り手による青春サスペンス。(2001年)
『崖っぷちマロの冒険』
僕は世界の忘れられた子。照らし出しては殲滅する——放課後に呼び出された11歳の僕が見たものは、中指を立てて木に縛りつけられたお嬢の屍体だった! 自伝的習作。(2002年)
別名義でベストセラーとなった代表作『血と言葉』に初期中篇二作を併録。
読んだ人: 28(にわ)
Pの刺激 黒い渦
杜 昌彦
『Pの刺激』
呪われた言葉が世界を染める。アヴァンポップな黙示録!
州辻郁夫、24歳。カルト集団自殺事件の生き残り。街は謎の断片群「PCz」に覆われていた。噂では13年前に失踪した無頼派、羅門生之助が作者だという。その孫の家出少女に振りまわされ、渦中へ巻きこまれる郁夫。大量の断片群に刻まれた魔術的想像力は、やがて現実を侵食しはじめ……。硬質な文体で描くダークファンタジー!(2005年)
『黒い渦』
あの渦からは逃れられない。愛と暴力の悪夢世界! 騒乱の夜から十年。かつて天才原型師と呼ばれた宍神は、企業の不祥事を隠蔽する「揉み消し屋」として日銭を稼いでいた。謎の女を救った夜から、黒い幻覚剤を巡る因縁に巻き込まれる。親しい人を「人形」に次々に殺され、過去と対峙した彼が見たものとは? 詩的な暴力描写、予想を裏切るめまぐるしい展開。ウルトラ・ヴァイオレンスな近未来ノワール!(1999年、2006年改稿)
読んだ人: 人格OverDrive 編集部