逃亡のガルヴェストン
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逃亡のガルヴェストン

ついにおれの運も尽きたか―。ロイはこれまで闇の仕事で生きてきた。しかし癌の宣告直後、ボスの裏切りにあい、追われる身となってしまう。成り行きで道連れとなったのは、ロッキーという家出娘。金に困って娼婦をしていたらしい。こうして、孤独を愛する中年の男と、心に深い傷を負った女の奇妙な旅が始まった。ロイは、ロッキーがまともな道を進むことに残りの人生を賭けようとする。だが、果てなき逃避行の先には…。ダークな情熱と、静かなる感動をたたえた、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作。


¥1,430
早川書房 2011年, 単行本 273頁
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著者: ニック・ピゾラット

米国の作家。2004年には全米雑誌賞、2006年にはフランク・オコナー短編小説賞の候補になる。初長篇の本書は、アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀新人賞、バーンズ&ノーブル優秀新人賞の候補に挙がっている。

ニック・ピゾラットの本
2019.
07.14Sun

逃亡のガルヴェストン

話題の映画原作人気ドラマ脚本家の処女長編にしてエドガー賞候補なる華々しい謳い文句に騙された期待が高かっただけに失望は大きかったよくある話をあえて書くなら人間を書くかおもしろく書くかどちらかしかないこの小説の著者はどちらもやらなかったプロットはよくある話をただなぞっただけひねりも何もないこの手の話でこういう展開なら当然こういう結末になるだろうというのが芸もなくただ書いてあるあまりにつまらないので逆に驚かされたこんなものをわざわざ出版する厚顔さに呆れたプロットばかりか人物描写もよくあるパターンをただなぞっただけいやよくあるパターンのほうがむしろまだしも臭いや生々しさがあるよくあるパターンを脱臭し漂白し殺菌消毒した味も素っ気もない紙人形以下だ生きた人間に似たところはひとかけらもない話も借り物人間もいないいったい何のために書いたんだよ最初からいやな予感はした主人公はおれと同年代なのだが十八歳の子どもに向ける視線がいちいち過剰に性的なのだ中学生ならともかく四十過ぎの男があの描写はないしかも子どもをそのように見るのだ社会病質だからという説明は一応あるが大した説得力はない明らかに均衡を欠いていて小説を成り立たせる最低限の技術水準を満たしていないそうした視線を向けられる側の子どもにしてもいかにもよくある話のよくある登場人物を頭のなかで再現して書いてみましたといったぞんざいな書かれようでデッサンの狂ったアニメ風の落書きを中学生にドヤ顔で見せられたかのような気分になるだからちゃんと書けばあるいは読者に涙を流させたかもしれない結末もただよくある話のよくある結末というだけに終わる逃亡劇というほど逃げまわりもしないし起伏も何もあったものではない子連れで逃げるからといって心の交流なんてものをいちいち書かねばならぬという法はないそれはそうなのだがだったらもっと容赦のないハードなアクションがあったっていいだろうなんの交流もなくただいかにもありそうな人物がただいかにもありそうなパターンで登場するだけそれでこのひねりも何もないそれどころかノワールを気取っていながらアクションも何もないプロットかといってミステリ的なひねりすら何もない結末何がしたいのなぁ何がしたいんだよもしかしたらこういうよくある話をただなぞりましたというのが最近の流行なのかもしれない人間が描かれていたり人生への洞察があったり読者を夢中にさせるプロットや語り口があったりすれば異物のように厭われる味も臭いもないから受け入れられるのかもしれない新しいものやおもしろいもの味のあるものを見せられても現代の読者は受け入れられないのだすでにあるものだれもがよく知っているものを無味無臭に再現して差し出せば馴染みがあるから安心だああ噛まなくていいから食べやすいと喜ばれるのかもしれない味のない純粋にただの再現見飽きたもののくりかえしが金になるのかもしれない


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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