妄想中年日記

連載第192回: Pagesでepub出力とKindle出版(KDP)を試す

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2019.
03.29Fri

Pagesでepub出力とKindle出版(KDP)を試す

Pagesで縦書きが可能になった。Kindle版の出版に使えればHagoromoは不要になる。これまでもPagesで生成したepubをいじって縦書きにするハックは存在したが検証すると不正なepubだった。正式対応に期待していた。結論からいえばepubはOKだ。だがKindle版には使えない。epubはまず出力時の設定でフォント埋め込みのチェックをはずさねばならない。そうしないと重すぎてまともに表示できないepubができあがる。奥付をテキストボックスで横書きにしてみた。罫線で仕切りを入れるのも楽でよさそうに思えたがepubにすると画像になる。おまけに罫線がその画像からはじき出されて奥付のあとに罫線が並ぶ。これまでも奥付は画像で処理していたしどうしても罫線が必要なわけではない。検証も通るしまぁいいかと妥協するつもりでいたがKDPにアップロードするとなぜか本文が横書きになる。右綴じ横書きという珍妙な本の完成だ。mobiで上げればどうだろうと考えてKindlegenにかけたがパーミッションが不正だといわれる(追記:このエラーは解消されたがやはり横書きのmobiが生成される)。Kindle版が出版できないのでは意味がない。Macでepubをつくる手段はどれも一長一短だ。Hagoromoは目次生成に難がある。何年も前に改善要望を出して返事はすぐにもらったが直す予定はないようだ。ごく一時期ネットブックでWindowsを使っていたときに試したWZ Writing Editor(いまはWZ Writing Editor 2という名称らしい)がepub対応に優れているという話は聞く。Macでそのような手段がないのはどうにかならぬものか。WordPressからそのままepub出力できれば連載ツールがそのまま単行本出版ツールになるので便利なのだが既存のプラグインはどれもまともに機能しない。自力で構築する技術もない。現状で組版までちゃんとやれる手軽なツールはBCCKSだけだ。2013年から現在に至るまでその状況が変わらないのは嘆かわしい。それだけBCCKSが優れているといいたいところだが集客力のないモールと一体になったUIでは出版ツールとして使いものにならない。エディタだけアプリケーションとしてサービスから切り離していただけないものだろうか。実現してくれたらもちろん月額料金を支払う。Adobeより高くてもいい。独自ショップと変わりない集客力なら独自ショップでやったほうがいい。モールとして出版者と読者を囲い込むことが許されるのは残念ながらアルファベット最初の文字からはじまる偉大なるストア様だけだ。インフラがBCCKSであるのは構わないがそれならそれで外部から利用できるようなAPIなりWordPressプラグインなりで機能を切り分けていただけると助かる。しかし叶わぬ夢を見ていても仕方ない。Pagesは惜しかった。epub出力まではよさそうに見えただけに残念だ。それとも作成手順に不手際があったのだろうか。わからない。さしあたり『男と職と家をなくした28歳女子がシェアハウス暮らしのおっさんに恋する話①』は刊行延期だ。無事に出版できたら追記する。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的な作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『逆さの月』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。最新恋愛小説『ぼっちの帝国』連載中。
ぼっちの帝国