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コロナの時代の

by: イシュマエル・ノヴォーク

「色んな人に会った。色んな経験も。変わったことは沢山あるように思うけれど、そうでもない気もする」……1950年代のサウス・ブロンクス、1960〜1990年代のエル・パソ、同時多発テロから数年後のイングルウッドとニューヨーク。さまざまな時代を舞台に、自由に、クスっと笑えるジョークをまじえて描く土地と血の物語。

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看板作家、人格OverDriveからの記念すべき第一作

紹介する人:人格OverDrive 編集部

以下の文章はイシュマエル・ノヴォーク氏からあとがきとして寄せられた文章である諸事情により単行本に収録できなかったためここに公開する。 (編集部

カイディッシュ・ブッフは一九五〇年代の米国ニューヨーク州を舞台にした短編群であるニューヨークにはホロコーストから逃れるためにイディッシュ語の話者が大勢移住した過去がある

 イディッシュ語はドイツ語とヘブライ語スラブ語などが混在している表記の上ではヘブライ文字を使用するが現代ではラテン文字を使用することもあるこの物語の登場人物たちは架空だがイディッシュ語新聞、 〈フォアヴェルツ紙は実在する言葉精神は流浪する突き詰めれば私たちに住処などというものはないのだろう

 タイトルのカイディッシュ・ブッフかばん語であるイディッシュ語におけるカディシュ聖なるという意味であり、 〈ブッフ。 〈聖なる本イディッシュを付け加えさせていただいた登場人物のうち数名はペリフェラル・ボディーズにも登場している

ペリフェラル・ボディーズは二〇〇〇年代初頭の米国を舞台にした群像劇であるこの物語には全体を通した主人公は想定していない場所や時代も異なっているバーリング親子の受け継がれる心やウルピオの後悔ラスターの前進しようとする勇気はそれぞれ独立しているが細い糸のようなもので繋がっているこの物語を書くにあたっては音楽をヒントにしている

 タイトルのペリフェラル・ボディーズ直訳すれば周縁の肉体たちという意味である思うに心はあやふやで実態がないと言っていいだろう心は肉体に宿るのかそれとも脳あるいは心臓に宿るのかは議論の余地があるだろうが私たちの最奥部にあるということは間違いなさそうだ

 現代では私たちの肉体は機械から多くの恩恵を受けている飛行機や自動車がなければ私たちは徒歩や馬に乗って移動しなければならない過去の人びとは現代の私たちよりも行動範囲が狭かっただろう私たちは気軽に電話やインターネットを通じて他者との交流をすることができるが今も昔と変わらず人が出会い知り合うことができる上限は存在している心も同じだ

 私たちの心も機械の恩恵を受けている心という機能は拡張されているかも知れないそれでも私たちには肉体あるいは肉体性があるこれらが消失する未来はもっと先のことだろう。 (私はそのような未来の到来を信じたくはないが人間の心最奥部はあやふやであるか空洞かも知れないもしかすると代替が可能なのかも知れないそれでも空洞の周縁を彩る肉体が精一杯踊り輝きを放つそうあって欲しいと思う

コロナの時代の愛のタイトルはノーベル文学賞を受賞したガルシア・マルケスによるコレラの時代の愛を模したものになっている今現在私たちは渦の時代を生きている私たちは日々混乱しており疲れ切っている物語は短いものの様々な立場や年齢の人物を登場させるよう努めたもしかすると彼ら彼女らは支持できないような人物かも知れないし私やあなたの分身のような人物かも知れない

 本書を執筆するにあたり作家で編集者である杜昌彦氏から貴重な助言をいただいた氏の助言がなければ私はこれらの物語を書き上げることはできなかっただろう心よりお礼を申し上げる

I・N

(2021年07月14日)

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人格OverDrive 編集部

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@Ishmael-Novok@ezdog.press

作家、ジャズピアニスト、画家。同人誌サークル「ロクス・ソルス」主催者。代表作『暈』『コロナの時代の愛』など。『☆』は人格OverDrive誌上での連載完結後、一部で熱狂的な支持を得た。

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