ベイツ教授の受難
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ベイツ教授の受難

言語学の元大学教授ベイツは難聴のため早期退職し、ときおり、やはり難聴で認知症の父親の家を訪問している。再婚した妻のフレッドは自営業で成功し、夫は妻の「付属品」のような存在だ。ベイツは女子学生アレックスの論文指導をすることになったが色仕掛けにうんざりしてしまう。しかもテーマは「自殺の遺書」分析。夫婦仲もますます冷え、何をやっても失敗ばかり。そんな中、ベイツはポーランドへ講演旅行に出かけ、アウシュヴィッツを見学して衝撃をうける。妻からの電話で娘が産気づいたことを知らされた直後、息子から祖父が倒れて入院したと連絡をもらう……。人生の盛りを越えた難聴の主人公ベイツ、老いて一人暮らしの父親、虚言癖のある女子学生など、一筋縄ではいかない登場人物たちが物語を盛り上げる。読者をおおいに笑わせつつ、「老い」「死」というテーマをしんみりと、かつ明るく描く、大御所ロッジ集大成。


¥3,080
白水社 2010年, 単行本 388頁
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読んだ人:杜 昌彦

ベイツ教授の受難

主人公は難聴をきっかけに退職した元教授会話が成立しないがために疎外される様子は他人事とは思えない彼を追いまわす若い女子学生はサイコパスだ心の隙に入りこんで他人の人生を振りまわし社会的な死へ追いやることで自我を保つ離れて暮らす父親は元教授が初老であるからして当然年寄りであることのベテランだ老人力がつきすぎて惚けはじめてる主人公はその心配もせにゃならんわガキ臭いお色気サイコパスには振りまわされるわおまけに再婚相手ときたら金持ち相手の商売で成功したデキる女で難聴ニートの元教授は何かと引け目を感じなきゃならないあげくのはてにアウシュビッツくんだりまで旅行して死についてクヨクヨ考える始末

噛みあわない会話コントロールされる不安同居人からの軽蔑そして自身よりも一足先に肉親へ迫る老いと死⋯⋯だれの人生にもあるあれやこれやがセンテンスの隙間からよみがえる筋運びがまた巧い社会から疎外された主人公ただでさえハンディキャップのある彼のもとに若い女が厄介な事件を持ちこむ女の動機はいったい何か? 探るうち別の揉め事まで浮上あのトラブルこのトラブルが錯綜し幾重にも絡みあいもつれあうすったもんだのあげく舞台にツイストがあってもどってきたときには物語は様相を変えているそうして謎を解き明かした主人公がトラブルの元凶や被害を拡大させたまぬけを断罪する比喩と筋が渾然一体となってるのがいい小説の条件だがまさにそんな話で聞きまちがいや言葉遊びが皮肉なギャグを装いながら全体をまとめあげるそして物語はハッピー・エンドを迎える勃たなくなるほど老け込んじゃいないとはいえそこは元教授年の功最後には諸問題にばっちり決着をつける黄泉の国から知恵を授かって帰還したみたいに

(2013年05月09日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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デイヴィッド・ロッジ
1935年1月28日 -

英国の作家、英文学者。経歴を生かした、学者世界を舞台とした「キャンパス・ノヴェル」作品で知られる。『交換教授』『素敵な仕事』は英国でテレビシリーズ化されている。1998年の新年には、その文学に対する貢献のため大英帝国勲章が与えられた。

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