デイヴィッド・ロッジ
1935年1月28日 -
英国の作家、英文学者。経歴を生かした、学者世界を舞台とした「キャンパス・ノヴェル」作品で知られる。『交換教授』『素敵な仕事』は英国でテレビシリーズ化されている。1998年の新年には、その文学に対する貢献のため大英帝国勲章が与えられた。
ベイツ教授の受難
言語学の元大学教授ベイツは難聴のため早期退職し、ときおり、やはり難聴で認知症の父親の家を訪問している。再婚した妻のフレッドは自営業で成功し、夫は妻の「付属品」のような存在だ。ベイツは女子学生アレックスの論文指導をすることになったが色仕掛けにうんざりしてしまう。しかもテーマは「自殺の遺書」分析。夫婦仲もますます冷え、何をやっても失敗ばかり。そんな中、ベイツはポーランドへ講演旅行に出かけ、アウシュヴィッツを見学して衝撃をうける。妻からの電話で娘が産気づいたことを知らされた直後、息子から祖父が倒れて入院したと連絡をもらう……。人生の盛りを越えた難聴の主人公ベイツ、老いて一人暮らしの父親、虚言癖のある女子学生など、一筋縄ではいかない登場人物たちが物語を盛り上げる。読者をおおいに笑わせつつ、「老い」「死」というテーマをしんみりと、かつ明るく描く、大御所ロッジ集大成。