デルフィーヌの友情
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デルフィーヌの友情

スランプに陥った新進作家のまえに現れた、謎めいたゴースト・ライター。急速に親しくなってゆく二人の女性をめぐる、恐怖のメタフィクション!

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著者: デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガン

(1966年 - )フランスの作家。『ノーと私』で「仏本屋大賞」、『リュシル- 闇のかなたに』は「高校生が選ぶルノドー賞」、2015年『デルフィーヌの友情』で「高校生のゴンクール賞」と「ルノドー賞」を受賞。

デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガンの本
2020.
09.30Wed

デルフィーヌの友情

微に入り細を穿つとはこのことかー。先日、オープンして間もないブックカフェに行ってきた。日本在住のフランス人で、元書店員、現在はこのブックカフェを経営されている店主さんが、気さくに話しかけてこられたので、思い切って「暗い人間の心の機微を描いた作品はないですか」とお尋ねしたところ、『デルフィーヌの友情』『女の一生』『うたかたの日々』を挙げてくださった。
 いわゆる古典作品で文庫化されているものは、年数が経っても出版され続ける可能性が高いが、ハードカバーで出ているものは、注目度が低ければ、それほど数が刷られることもなく、出版されて数年経てば書店にも並ばなくなるだろう、ということもお話されていた。(本書も出版社に問い合わせて送ってもらったらしい)なるほど。新刊本というのはそれがいくら貴重であっても、世間の耳目を引かなければ淘汰されてしまうのか。(ちなみに『デルフィーヌの友情』の筆者であるデルフィーヌ・ド・ヴィガンは、フランスでは人気のある作家だそうだが、日本で人気が出なければ同じこと)
 一番にお薦めしてくださったのが『デルフィーヌの友情』であったこと、この作品は私小説作家として一躍有名になった筆者が書かれた初の小説、であるということで、同じエッセイのような私小説のような文章を書いている人間として興味が湧いたのでこちらの本を購入した。
 まず初めに思ったのが、(私の浅い読書歴ではあるが)これまでに読んできた文体のどれにも似ていない、「微に入り細を穿つ」という言葉がぴったり当てはまる観察眼でもって「人間」が描かれた本だった。
 焦点となるのは「真実とフィクション」だ。文章と私小説作家という肩書きから、現実を起点として展開されていたはずのこの物語そのものが、虚構なのか現実なのかが次第にわからなくなっていく。読者はそこに翻弄され、魅せられる。
「それは、ほんとうなの?」
 人はしばしばそれが現実に起こったことかどうか、ということを無性にはっきりさせたがる。
 だがしかし、何を以てして「現実」と名付けられるのだろうか。人がそれを書き起こした時点で、それはもうどんなにノンフィクションを謳っていても、主観というものが混入している。純粋なノンフィクションなど、存在しないのではないか。そんなエクリチュールについての主人公のデルフィーヌとLという女性のそれぞれが展開する言葉遊びのようでいて、本質的でもある二人のやりとりや、行動の駆け引きには終始ドキドキさせられた。
 本書にも引用として登場していたが、映画『ミザリー』を彷彿とさせる物語で、読了後に「これは、ほんとうなの?」と問いかけている自分がいて、笑った。
 なお本作は、ロマン・ポランスキー監督が『告白小説、その結末』というタイトルで映画化もされている模様。これからレンタルして見てみようと思う。


趣味でしかものを書いたことのない、名無しの素人エッセイスト(自称)。 この度、どういうわけか当サイト「人格OverDrive」の主宰者である杜 昌彦氏に「掲載してみませんか」とお誘いいただき、こちらに寄稿することに。 29年間、苦しそうなこと、辛そうなことから逃亡している人生。フリーター。 寄稿するジャンルは妄想エッセイ。虚実交えた物語を書いていきたいと思います。
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