『自由学校』 とあわせて読みたい。 それにしても獅子文六の恋愛観っておもしろいなぁ。 地に足がついた生活の一環であり、 若者だけのものとはかぎらず、 「自分がどう生きたいか」 ということに深く関わっている。 ⋯⋯あ、 よく考えたらこれも 『信子』 とおなじ西部劇パターンだわ。 だめな男たちとの恋愛という異境を訪れ、 厄介ごとと闘い、 去っていく。 『信子』 と違うのは自らの意思でその土地を訪れたのではなく、 当時の女であることの制約から巻き込まれてしまったという点。 前半は巻き込まれ型で、 結末は西部劇ってのがおもしろい。 ふりまわされていた女が主体性を獲得する物語。
ASIN: 4480430490
コーヒーと恋愛
by: 獅子文六
まだテレビが新しかった頃、お茶の間の人気女優 坂井モエ子43歳はコーヒーを淹れさせればピカイチ。そのコーヒーが縁で演劇に情熱を注ぐベンちゃんと仲睦まじい生活が続くはずが、突然“生活革命”を宣言し若い女優の元へ去ってしまう。悲嘆に暮れるモエ子はコーヒー愛好家の友人に相談……ドタバタ劇が始まる。人間味溢れる人々が織りなす軽妙な恋愛ユーモア小説。
¥990
筑摩書房 2013年, 文庫 400頁
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読んだ人:杜 昌彦
(2017年09月04日)
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
『コーヒーと恋愛』の次にはこれを読め!