探偵は壊れた街で
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探偵は壊れた街で

クレア・デウィットはただの女探偵ではない。独特の探偵術を駆使し、巧みに銃を扱い、師と仰ぐ探偵たちの教えを守り困難な調査でも諦めずに事実を追う。2007年、ハリケーンの傷痕が未だ残るニューオーリンズで、クレアは失踪した地方検事補の捜索を依頼される。洪水で死んだと思われる一方で、嵐のあとに姿を見た者もおり、経緯がわからない。真実によって誰かが傷つくこともある。しかし探偵にできるのは、謎を解決し先に進むことだけだ。傷ついた街と人々に寄り添う女探偵の活躍を描く、マカヴィティ賞最優秀長篇賞受賞作。


¥1,222
東京創元社 2015年, Kindle版 389頁
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探偵は壊れた街で

昨年末に読んだ妙な探偵もの土地柄のせいか妙に呪術的で魔術的リアリズムを思わせる易経やら預言書めいた本やらディックあるいはおなじ土地の作家エフィンジャーを想起させる。 「私立探偵なる職業が著名スターのごとく扱われる世界が描かれていてこれは実際の米国社会を映したものかそれともマーヴェルや DC のヒーロー映画のような荒唐無稽なつくりごとなのかニュアンスがわからず困惑させられるマイケル・コナリーのボッシュものにもテレビに登場する著名な刑事なんてのが出てくるし民間軍事会社と同様に理解しがたい概念ではあるけれどprivate detective とは民間の刑事の意味だそうだからあるいは米国人にとってその設定はコロンビア人にとっての百年の孤独とおなじくらいに身近で真実味があるのかもしれないカトリーナでひとびとの暮らしや人生がどれだけ破壊されたか東北人としては洪水の高さを示す印や避難所出て行ったひとたちや出て行こうにも離れられないひとたちの描写がまるでよその土地とは思えないましな人生を選び取るよう薦める年長者に対しよそには確かに豊かさも可能性もなんでもあるかもしれないでもこの土地で積み重ねた人との繋がりだけはないんだと応じる若者両者の子ども時代の記憶を結びつける因縁の書物呪術的な語り口でなければそのような物語は書かれ得なかったのかもしれない探偵のふるまいが性別で制限されないのもいい残念なのは邦訳の彼女が役割語でしゃべることフィクションにおける役割語は必要悪だと思うけれどこの物語においては必然性がないタフで皮肉でワイズクラックな探偵としての役割語を優先してほしかった

(2022年02月07日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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サラ・グラン
1971年-

米国の作家。『探偵は壊れた街で』は2011年に発表された4作目の長篇作品で、独特の世界観を持つ女性私立探偵クレア・デウィットを主人公としたシリーズの第一作。2012年マカヴィティ賞最優秀長篇賞、ドイツ・ミステリ大賞翻訳部門一位を獲得。またハメット賞やシェイマス賞最優秀処女私立探偵小説賞の最終候補作にもなるなど、高い評価を得た

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