杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第51回: 電線の鳥

書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2017.
06.09Fri

電線の鳥

社会生活で多くの支持者がいれば出版と同時に購入され好意的なレビューが短期間で多数つきます刊行と同時に多数購入された本は高順位になりますその時点ですでに好意的なレビューが多数ついていれば露出と相まって売れ行きが加速しますAmazon の出版サービスで成功した著者は例外なくそのパターンです彼らのレビュー欄や Facebook には賞賛の言葉やいいね!が並びます現代の社会生活はウェブによって拡張されますそのため世渡りの優劣で格差はいっそう広がります社会的能力と信じてくれるひとたちに恵まれなければ出版では成功できません失望しか待ち受けていないのであれば何のために読み書いて出版するのか結局のところそれは本が好きで書くのがうまくなりたい叶わぬ夢とわかっていてもというただそれだけに他なりませんずっとそのように生きてきましたわたしにとってそれが出版なのです

前回は出版の機能をウェブサイトで実行することについて書きながら肝心なことに触れませんでしたそれは一冊の本が読者の手に渡るまでをあるいはその後の展開も含めてエンターテインメントとして読者観客に提供することですそれが場としてツールとしての出版あるいはウェブサイトのもっとも重要な機能であり単なるグループウェアとはそこが異なります音楽雑誌ERIS最新号のインタビュー記事で横尾忠則さんがアンディ・ウォーホルに初めて会った日について語っています銀紙を貼られたファクトリーにエレベーターでたどり着くとウォーホルは真っ黒なサングラスをかけてインクを溶いていたそうです色が見えなくなるのにそんな格好をしていたのは来客に強烈な印象を与える演出でした著者であり出版者であるわれわれはそのようなことをやっていかねばなりません観客などいなくてもそうするのです瓶詰めの手紙は波に揉まれて数十年後に見知らぬ浜辺で誰かに拾われるかもしれませんからちなみに今月号のERISには三浦久さんによるレナード・コーエン追悼文も載っていてお薦めです

Social Articles はカテゴリが設定できますが当環境では投稿機能がまともに動作しませんそこで BuddyBlog を採用しましたがカテゴリが指定できません追記:まちがいでした設定すれば選べます)。 BuddyBoss User Blog ならこの問題は解決するがいかんせん高価すぎます個別にカテゴリを指定することで連載を持てるようにしたかったのですがこのままでは妄想老人日記にさまざまな著者が書くことになりますおまけに権限の関係で肝心のフォーラムには参加できずプロフィールページのバナーも変えられずtwitter からのログインで反映されるはずのアバター画像すら反映されない状況です最低限のことをやれるように権限を拡大すればセキュリティの問題が生じますtwitter ログインでだれでも簡単に利用できるので悪意のあるユーザに荒らされ放題になります過去にマルチサイトの導入を試みた折には海外のスパムアカウントが際限なく群がりましたこうした不具合を解消するには個別の連載という発想を撤廃し権限を細かくカスタマイズしなければなりません方策はあるようでヒントになる記事も見つけました

しかし今はそのようなことで頭を悩ませたくありません需要もないのにこれ以上手間をかけるのはばからしい気がします本も読めていないし睡眠時間を削りすぎています何よりストレスが昂じるばかりです今回は技術的にはやれるというところまででいいんじゃないかなと思いましたいずれ機が熟せば商用テーマでやれば済む話です一方でお手軽ブログ機能から書くときにはこれまでにない気楽さを感じました無理に他人と関わらずこれまで通りひとりでやれることを模索したほうがよさそうです

電線の上の一羽の鳥のように
真夜中の聖歌隊の酔っ払いのように
私は私なりのやり方で自由になろうとした

——レナード・コーエン電線の鳥」 (三浦久 訳


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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