バナナ
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バナナ

お金持ちの台湾華僑の息子、龍馬は車が欲しい大学生、そのガールフレンド、サキ子はシャンソン歌手としてデビューしたいが、青果仲買人の父の許しが得られない。そんな二人の夢を叶えるのはバナナ?ひょんなことからバナナの輸入で金儲けをすることになったのだが、そこへ周囲の思惑が絡み、物語は意外な方向へ!テンポの良い展開に目が離せないドタバタ青春物語。


¥968
筑摩書房 2017年, 文庫 432頁
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読んだ人:杜 昌彦

バナナ

すっげーえぇおもしろかったエンターテインメント小説の大傑作よっく調べてあるなぁと感心した夫婦間の感情というか大人の恋というかそういうのが盛り込まれていて若者の恋よりもむしろそっちのが色気があるのが獅子文六のすごいところ現代の日本の小説家にそういうの書けますか書けないでしょう当時の価値観倫理観が枠組みとしてはありながらもそこから不思議と自由なのも彼らしい作家は周縁から観察するものだとアーヴィングが書いていた獅子文六はまさにそのように書く作家だよね年長の女性と若い娘の会話がうまい作家でもあるこの小説ではめずらしく父と息子の会話が描かれるこれがまたいいんだちょっと理想化されすぎだけどねしかもこのお父っつぁんじつに男前なんだよ欠点といえば食いしん坊なくらいでこんなおっさんになりたいねぇ悦ちゃんのその後を思わせるガールフレンドがまたいいよくも悪くもすごく女の子なのに肝心なところは逸脱しないおっ母さんもいいし適度に駄目でまっすぐな息子もいい甥っ子を教育しようとする華僑のおじさんも素敵だやっぱりね小説はこうでなくちゃあ人間が活き活きしてなきゃ駄目だよ食べ物の描写がまた美味しそうでね戦前のてんぷらは旨かったんだろうなぁ明治生まれの祖父が子ども時代に喰ったベーコンの話をしていたけれども昔はほんとうに旨いものがあったんだな家族がほんとうの幸福を迎えてからの転調とやけにあっさりした破滅的な結末巧みな構成! そして喜劇的な台詞で締めるうまいねぇ小説は喜劇はこうでなくちゃこれが本物の小説だよ

(2017年09月21日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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獅子文六
1893年7月1日 - 1969年12月13日

日本の作家、演出家。多くの作品が映像化された。1961年にNHKでテレビドラマ化された『娘と私』は、連続テレビ小説の第1作となった。1963年、日本芸術院賞受賞、1964年芸術院会員、1969年文化勲章受章、同時に文化功労者となる。