神秘大通り
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神秘大通り

サーカスのライオンに殺された妹。宣教師とトランスヴェスタイトの愛情深い養父母。怪しい美人母娘を道連れに、作家の感傷旅行はどこへ向かうのか。待望の最新作!

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著者: ジョン・アーヴィング

(1942年3月2日 - )米国の作家。19世紀的な「物語の復権」を目指し、人間喜劇のような波乱万丈のストーリー展開をもつ作風で知られる。作品の多くは映画化されている。

2017.
08.27Sun

神秘大通り

巨匠のマジックリアリズム小説。黒天使ならぬ白と黒の死の聖母。メキシコの教会の埃やゴミとともに焼かれる犬が頁のあいだから匂うかのようだ。『未亡人の一年』の頃は綿密に取材した箇所とそうでない部分とがちぐはぐだったりしたけれどもこの本ではそんなことはなかった。じつによく練られて無駄がない。ふたつの時間軸を進みながらも師匠譲りの行ったり来たり(時系列の操作)は鳴りを潜めて寂しかった。主人公が50代のわりにやたら老けてるのが気にかかった。若い頃から憧れだった作家たちがこのところ老いと死を主題に書いている。オースターとか。そういう時期にさしかかったということなのだろう。おれも歳をとった。みんな長生きしてほしい。そうでないと困る。歳をとると大抵のことには動じなくなり情動への執着が薄れる。贅肉が削ぎ落ちて淡々と叙述するようになる。この本でも脇役にかんしては、彼の面目躍如たる活き活きとした人物描写が光るけれども、描写にも筋運びにも無駄がなさ過ぎて、肝心の主人公がどんな人物なのかよくわからなかった。女たちと運命にふりまわされて空騒ぎしたあげくおっ死んだ老人(実年齢は若いのに)、という印象だけが残った。寂しい。ルー・リードが年老いて癌で死んでからというもの芸のはかなさを思うようになった。巨匠よ頼むから死なないでくれ。おれを置いていかないでくれ。化け物みたいにずっとずっと精力的に書きつづけてほしい。この世の終わりまで。というかKindle版が出てることをいま知ってびびった。ついにアーヴィングがKindleで読めるようになったのか。ついについに。嗚呼。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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