本好きの女子高生という設定の bot が効率よく 「いいね」 やリツイートを集めていて、 何が目的なのだろうと不思議でしたが、 やはりアフィリエイトでした。 ソーシャルメディアに溢れる読了ツイートの大半はアルゴリズムによる自動生成なのかもしれません。 それらの投稿への反応もまた、 生身の人間に擬態しているにすぎないのかも。
タイムライン上の評価経済取引に人間性は介在しません。 ユーザは画像や文字列を記号的に認識して 「いいね」 やリツイートの反応を返しているかに見えます。 bot 側からすれば 「このボタンを押せばこの反応が得られる」 といったようなもの。 記号に徹して人間味を感じさせないほうが 「わかりやす」 く、 臭みがないので評価されやすいのです。
いいねやリツイートを行う側も、 いちいち読んで理解する手間はかけられません。 適確にすばやく反応しなければ人間性 (弱さ、 逸脱、 汎用性の欠如) を嗅ぎつけられ、 ソーシャルに排除されます。 現代の社会に最適化された個人は、 そうした作業を日常的に意識せず行っています。 「生きやすさ」 とはそういうことです。 どんなに優秀な人間であっても排除されずにいるのは日に日に困難になるでしょう。 出版と読書もいずれはそうなります。
⋯⋯いえ、 すでにそうなっているのかもしれません。 フィードバック・ループが暴走してアルゴリズムが株価暴落を招くように、 大規模ストアの棚にも不穏な気配を感じます。 人間性とはかかわりのない、 偶発的で些細なできごとが雪だるま式に膨れ上がり、 化け物のように育ちつつあります。 読書はやがて機械にしか処理できない複雑な記号の集積となるでしょう。