杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第18回: 暴走する読書

書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2017.
01.03Tue

暴走する読書

本好きの女子高生という設定の bot が効率よくいいねやリツイートを集めていて何が目的なのだろうと不思議でしたがやはりアフィリエイトでしたソーシャルメディアに溢れる読了ツイートの大半はアルゴリズムによる自動生成なのかもしれませんそれらの投稿への反応もまた生身の人間に擬態しているにすぎないのかも

タイムライン上の評価経済取引に人間性は介在しませんユーザは画像や文字列を記号的に認識していいねやリツイートの反応を返しているかに見えますbot 側からすればこのボタンを押せばこの反応が得られるといったようなもの記号に徹して人間味を感じさせないほうがわかりやす臭みがないので評価されやすいのです

いいねやリツイートを行う側もいちいち読んで理解する手間はかけられません適確にすばやく反応しなければ人間性弱さ逸脱汎用性の欠如を嗅ぎつけられソーシャルに排除されます現代の社会に最適化された個人はそうした作業を日常的に意識せず行っています。 「生きやすさとはそういうことですどんなに優秀な人間であっても排除されずにいるのは日に日に困難になるでしょう出版と読書もいずれはそうなります

⋯⋯いえすでにそうなっているのかもしれませんフィードバック・ループが暴走してアルゴリズムが株価暴落を招くように大規模ストアの棚にも不穏な気配を感じます人間性とはかかわりのない偶発的で些細なできごとが雪だるま式に膨れ上がり化け物のように育ちつつあります読書はやがて機械にしか処理できない複雑な記号の集積となるでしょう


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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