英雄なんかどこにもいない
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英雄なんかどこにもいない

ブコウスキーのすべてが濃密につまった奇跡の一冊。つねに社会を挑発し、不穏なまでに暴力的で、あらゆることを嘲り、当然ながらおそろしく不敬。しかし、それはいっぽうで恐怖や孤独あるいはコンプレックスを抱えながら生きていくひとつの術でもあった。あらゆる小さなものたちへの愛を忘れずに生きたアウトローが私たちに遺した反骨と慈愛にみちた悲しくも美しい珠玉の39編。


¥3,520
青土社 2020年, 単行本 445頁
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著者: チャールズ・ブコウスキー

(1920年8月16日 - 1994年3月9日)米国の作家。二歳でドイツから米国へ移住。大学離籍後、さまざまな職業を経て’52年から’70年まで郵便局に勤務しながら創作を続ける。ブラックスパロウ・プレスのジョン・マーティンと出会い、執筆に専念。白血病で亡くなるまで50冊に及ぶ詩集や小説を発表した。

2020.
08.27Thu

英雄なんかどこにもいない

ブコウスキーはいろんなひとが訳しているけれどやっぱり中川さんのが好きだただ彼は BUK をブクと訳すんだよな反吐ピュークみたいなビュークですよ奥さんと照れくさそうに話す BUK の映像を見たことがあるんだが⋯⋯ブコウスキーが書く話の大半は ZINE やリトルプレスの界隈についてだそれが読者層だったからなのだろうそういう書き方出版読み方が現代の日本にもあっていいはずだなかったのは日本語を打ち出して印刷するには文字数が多すぎて金がかかるからだWordPress や Mastodon はそうしたものを実現する手段となりうるように思うのだけれどそういえば DTP ってどうだったんだろう理屈からいえば Mac で書いて編集しレーザープリンタで印刷してあとはどうにかして製本すりゃよかったじゃないかそのようにして流通した地下出版はあったのだろうかあったのかもしれないけれどそういう場所からブコウスキーのようなふてぶてしい作家が出てきた話は聞かない日本でいうところの ZINE やリトルプレスはお洒落な小冊子で交流する文化でしかないもしくは逆に球根栽培法腹腹時計 のような政治を口実とした暴力を実現する手段でしかないそんな場所から本物の作家が出てくるはずがないそんなことを考えながらちびちびと読みすすめたが若い頃のように読書に身が入らない憧れの作家だったけれどこの歳になって読むと大人の女性に相手にされずアカデミックな成功者や金持の子息へのコンプレックスでくだを巻くだけのただのめんどくさいおっさんにしか見えなくなった狭い界隈の読者に向けて書かれた文章が多く収録されているせいもあるかもしれないやはりこれまで未収録・未公開だったのには理由があるような気がするおもしろいといえばおもしろいけれどあんまり堂々と人前に出すようなものでもないようだ世間知らずの若いファンに性的奉仕を無理強いする場面には BUK ならぬ PUKE が出そうになったそこにはぞっとさせられる生々しさがあり冷水をぶっかけられたオチはとってつけたような感じがする。 『くそったれ ! 少年時代詩人と女たちといった不朽の名作にはだれがどうがんばったって届きようもないが、 『エロ老人日記のような雑文はわたしうへさんにとっくに追い越されているかに感じるたしかにおれらはあんたのフォロワーにすぎないかもしれないでもさ爺さんあんた死んじゃったじゃないか白血病なんかにかかってさDon't try, just do itそうかもしれないけれど死んじゃ元も子もないんだよ遺されたおれらはあんたを軽々と越えてみせる死んじまったのを後悔させてやろうじゃないか


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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