特集: 女たち

女性が描かれた作品を集めました。
お薦め!

オリガ・モリソヴナの反語法

1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。感動の長編小説。第13回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。

読んだ人: 杜 昌彦

編集者を殺せ

探偵ネロ・ウルフを、事故死した娘は実は殺されたのではないかと考える父親が訪ねてきた。娘は出版社に勤める編集者で、亡くなった晩は原稿の採用を断わったアーチャーなる作家と会う約束をしていたという。ウルフはこのアーチャーという名前に聞き覚えがあった。先日、弁護士事務所で起きた殺人事件にも同じ名が登場したのだ。ウルフに命じられて二つの事件を調べるアーチーの目前でさらなる殺人が!アーチーは一計を案じ、関係者の女性たちにウルフ秘蔵の蘭とディナーを贈るが…美食家探偵が苦虫を噛み潰しつつ、狡知な殺人鬼と対決する。

読んだ人: 杜 昌彦

きれいな言葉より素直な叫び

舞台がある限り、そこに立ち続ける。本を届け、文章を綴り、今日も踊り続ける。お客を楽しませたいと必死になるのも、結局は自分の気持ちのためなのだ。踊り子を応援する人たちもまた、突き詰めれば自分のためではないだろうか。できればそうであってほしい。裸になってステージから見えたものは、客席に座る人たちだ。こちらに目を向けているということそのものが、私には素直な叫びに思えてならない。キラキラとした嘘ばかりの世界で、それだけが信じられる。書店員、エッセイスト、踊り子、三足の草鞋を履く著者による「生きづらさ」を原動力に書き綴ったエッセイ集。

読んだ人: 一夜文庫

女二人のニューギニア

文化人類学者で友人の畑中幸子が住むニューギニアの奥地を訪ねた滞在記。想像を絶する出来事の連続と抱腹絶倒の二人の丁々発止。

読んだ人: 一夜文庫

お薦め!

やっさもっさ

舞台は横浜。志村亮子は才気と実行力を買われ孤児院「双葉園」の運営に奔走する。そこへアメリカ人実業家、文芸評論家、婦人運動家と三流プロ野球選手など、個性的な人物が集まりドタバタ劇が始まる。一方、夫の志村四方吉は戦争による虚脱症で無為の生活を送っているように見えたが…。戦後の社会問題を巧みに取り込み、鋭い批評性と高い諧謔性で楽しませる傑作。

読んだ人: 杜 昌彦

お薦め!

あの本は読まれているか

一冊の小説が世界を変える。それを、証明しなければ。冷戦下、CIAの女性たちがある小説を武器に超大国ソ連と戦う! 本国で出版契約金200万ドル(約2億円)のデビュー作。2020年海外ミステリ最高の話題作!! 冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われるが、実はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けてある特殊作戦に抜擢される。その作戦の目的は、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。──そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く話題沸騰の傑作エンターテインメント!

読んだ人: 杜 昌彦

お薦め!

ブリーディング・エッジ

2001年9月、ITバブル崩壊後のNY。非公認の会計調査師マクシーン・ターナウは、コンピュータセキュリティ会社の財政調査をはじめるなり陰謀に巻き込まれる。アールデコ調のモーターボートを操るヤクの売人、ヒトラーが使ったひげ剃り後ローションに執着する超人的嗅覚の持ち主、靴の趣味が悪いネオリベラリズムのゴリ押し屋、ロシア系マフィアにブロガー、ハッカー、下っ端プログラマーに実業家……そしてもちろん、殺人だ。ディープ・ウェブへ、ロングアイランドへ。内なるユダヤ系の母にチャンネルをあわせ、ピンチョンが読者を連れて行く先にあるものは。正義の鉄槌はさておいて、真犯人は明らかになるのか。マクシーンはハンドバッグから拳銃を抜くのか。夫とよりを戻すのか。貸し借りがゼロになり、運命は清算されるのか……なあ、そんなの誰が知りたがる?

読んだ人: 杜 昌彦

お薦め!

ぼっちの帝国

¥2,288

「正しさ」の押しつけは、もういらない。
コールセンター勤務の明日香はささいな揉めごとから28歳にして無職に。彼氏のはずの年下男にはほかに彼女がいて、アパートは取り壊され帰る場所もない。ひょんなことから昭和モダン建築アパートの住み込み管理人となった明日香だが……。笑いあり涙ありアクションあり、殺人事件からカーチェイスまで全部入り。生きづらさを抱えるすべてのひとに贈る、爆笑と鬱の恋愛エンターテインメント小説!(2019年作)

読んだ人: 人格OverDrive 編集部

クロストーク

画期的な脳外科手術EEDを受けることにより、恋人や夫婦がたがいの気持ちをダイレクトに伝え合うことが可能になった社会。携帯電話メーカーのコムスパン社に勤務するブリディは、エリートビジネスマンでボーイフレンドのトレントとの愛を深めるため、干渉してくる親族たちや、コムスパンいちの変人と名高いCBの反対を押し切って、EED処置を受ける。だが、ブリディが接続したのは、トレントではなくとんでもない相手だった!?人の心がわかることは幸福につながるのか?ソーシャル・メディアとコミュニケーションの未来を、SFならではのテーマとミックスする、超常恋愛サスペンス大作。

読んだ人: 杜 昌彦

きゅーのつれづれ

アヒルのオーナメントであるきゅーちゃんの独言。小さなアパートの一室で起こる、住人や訪問者たちとの出来事をつづります。

読んだ人: 杜 昌彦